出版社内容情報
「ひょっこりひょうたん島」「吉里吉里人」「父と暮らせば」などで知られる井上ひさしは、芝居、小説、随筆、コント集など多彩な創作活動を続け、多くの人に笑いと生きる力を与えました。その創作の核には、自身の生い立ちから自律に到る道のりを通して生涯考え続けた、言葉の力、一人ひとりの幸福、笑いの力への信頼がありました。父親からのバトンを受け継ぐ思いで75年の生涯を駆けぬけた井上ひさしの作品をひもとき、次世代へ大事なメッセージを探ります。
内容説明
井上ひさしが作りつづけた人間だけのほんものの武器=笑い。人生を楽しくする秘訣。
目次
第1章 ぼくの原点
第2章 言葉とユートピア
第3章 戦争にみたもの
第4章 小松を離れて
第5章 物語づけ
第6章 笑いをつくる
第7章 信じて走れ
特別収録 井上ユリさんに聞く「素顔の井上ひさし」
著者等紹介
渡邉文幸[ワタナベフミユキ]
1948年、静岡市生まれ。共同通信社記者、法務省広報企画アドバイザーを経て、現在フリーランスのジャーナリスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yyrn
22
戦後の昭和を代表する小説家で劇作家の井上ひさしの生い立ちや経歴を、数々の作品紹介を通して上手に教えてくれる本だった。改めて井上ひさしの業績を知ることができて大変面白かったが、ただ、この本の装幀が見るからに児童向けで、図書館でも児童書コーナーに置かれていたが、それはかなり疑問。小中学生が井上ひさしを知ろうとこの本を手に取るだろうか?「Who is Hisashi?」ではないか?児童の親世代でも読もうと思う人は少ないだろう。教科書に取り上げられた小説があるといっても、どうかなあ?同じ著者が同様に紹介している⇒2023/05/17
純子
12
「井上ひさしの文章教室」に参加したジャーナリスト渡邉さん。参加者150人全員の作文を徹夜で添削しコメントを添えるという井上ひさしさんに惚れ込んだのでしょう。井上さんの生い立ち、著書や講演での言葉などを丁寧に調べてある。中学校の教科書に児童養護施設でのことが描かれた「握手」があったり、お芝居をみたりしていたけれど、知らなかったことも多くとても興味深く読んだ。脚本が遅筆で有名だったが、それは筆が遅いからではなく徹底的に調べるから。「父と暮らせば」にはかつて丁寧に写した被爆者手記が生きていたりするのだ。2022/10/21
じょうこ
6
小学校高学年~中学生向けのノンフィクションシリーズ。初めて知りました。シリーズロゴが緑の蛙マークで可愛い。井上ひさしさんの生涯を、成長ごとに7つのパートに分けて語られる。その時代や社会の姿とともに、若き井上ひさしさんが描かれる。5歳で父が病死し、東北を転々とし、母のもとを離れて養護施設にも入り。幼年時代から少年、青年時代のエピソードがたくさん。今からでも、井上ひさしさんの芝居や著作を追っかけなくちゃ。と思わせる原点がこの本にあった。2024/06/26