出版社内容情報
戦後7~8年、大人たちの生活にようやく余裕がでてきたころ。瀬戸内の島で新制中学に上がったアキラは散々な日々を過ごしていた。怪我が元で松葉杖の生活、学校の前で見つけた旅人のなぞの死体、アキラを目の敵にするクラスメイト、母に持ちかけられた再婚話、行方知れずだった実の父親との遭遇……島という空間に凝縮された人間模様のなか、それでもアキラは多くの人と心を通わせ、脱皮していく。島を舞台にした3部作構想の『海のコウモリ』『カモメの家』に続く最新作。
内容説明
生まれて初めてホトケサンに会ったのは、中学一年の夏だった―。戦後間もない島を舞台にした書き下ろし少年小説。
著者等紹介
山下明生[ヤマシタハルオ]
1937年東京生まれ。瀬戸内海の能美島で育つ。京都大学文学部仏文科卒業。児童書編集を経て、1970年に『かいぞくオネション』発表。以後、幼年童話から長編作品、絵本の翻訳など幅広く活躍。海を舞台にした作品が多い。作品に『海のしろうま』(野間児童文芸賞推薦)『はんぶんちょうだい』(小学館文学賞)『島ひきおに』(産経児童出版文化賞推薦)『まつげの海のひこうせん』(絵本にっぽん賞)『海のコウモリ』(赤い鳥文学賞)『カモメの家』(野間児童文芸賞・日本児童文学者協会賞・赤い鳥文学賞・「路傍の石」文学賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ニコぴよ
2
戦後すぐの瀬戸内の島が舞台の“日本版スタンドバイミー”と後書にある様に、まさしく少年の成長記。お遍路さんの死体発見、同級生との喧嘩、母や離れて暮らす父への反発、憧れの上級生への想い。戦後の混乱と人々の動き、暮らしや地域行事がイキイキと感じられた。自転車チキンレースにはドキドキした。美樹さんからの手紙とプレゼント、書かれた絵は美樹さんからの想いに甘酸っぱくなる。表紙の宇野さんのイラストが、読後にピッタリだなぁとじんわり気づく。2024/04/25
K
1
(2021)新刊のところにあったけれど、少し前に出て三部作だと知る。すばらしく、よかった。うちの図書館には蔵書がなく、過去2作を探してみる。児童作家で名前は知っていたけれど、こんなに戦後の中学生(=島の子)はたくましく、がんばりやで、一途だったのか。いまならありえないような大人のパワハラとかモラハラが全然暗くないのは、子供たちの生命力なのか。。親や友達、敵、周辺の大人などの関係、どれもこれも味がありました。半ば自叙伝みたいで、ぜひ児童書を読んでみたくなりましたね。海に関する著作多数。装丁は宇野亞喜良。2024/08/18
よっちん
1
図書館2022/04/17
必殺!パート仕事人
1
1986年~2021年で3部作完了。時間経過の中で本の装丁(値段)の歴史も感じました。1991年と担当編集者が同じというのも驚きでした。2021/12/31