内容説明
ある日ボーダーが見えるようになってしまったおれと、中学生ボーダー・セーラの、ひと夏の物語。
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- 評価
YA出版会の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
92
YA。海斗は、夏休みに祖母の家に泊まり込みお世話をすることになった。一人暮らしの祖母は認知症で、死んだ愛犬の豆蔵の散歩が日課だった。何もついてないリードを触ると、死んだはずの豆蔵が薄らと見え鳴き声もする。海斗は、あの世とこの世の境目「ボーダー」にいる幽霊を見ることができるようになった。必死の形相で自転車をこいでいく死んだ同級生や、夏なのにダウンジャケットを着てスーパーに走り込む女性など、海斗は「ボーダー」達の未練を調べ、手助けをする。マンションの下に佇む中学生セーラを救うことができるのか▽幽霊もの。2022/04/03
chimako
91
おばあちゃんと一緒に暮らすことになった海斗は死んでしまった豆柴の豆蔵のリードを握ることで幽霊が見えることに気づく。心残りのせいか、この世とあの世の狭間で迷っている人が見えてしまうのだ。ある日、事故で亡くなった友達が自転車で急ぐ姿を見つける。横断歩道でずっとたっている男の人が見える。そして中学生の女の子。話の締めはYAらしくホッとする。良い話で読みやすい。が、海斗の母が姉を「おねえ」と呼ぶのが気になった。児童書なのだから大人としての言葉遣いをしてほしい。2022/05/24
Ikutan
84
「ボーダーラインがあるの。生きてる人の世界と死後の世界をわける境目。で、そのボーダーラインの上に立ってんの。わたしも、その子も」認知症のばあちゃんの見守りのバイトを引き受けたおれは、ばあちゃんと死んだはずの豆柴の『豆蔵』の散歩に付き合ううちに、ボーダーラインの上に立っている人たちが見えるようになる。彼らの心残りを突き止め、ボーダーレス·ケアラーとして寄り添うようになったおれだったが..。ちょっと不思議で切なくて、温かくて優しい物語。タイトルの意味もラストに納得。児童書なので読みやすい。中高生にもおすすめ。2021/06/23
そら
78
海斗は夏休みの間、祖母をケアするため同居することに。祖母は毎日愛犬"豆蔵"を散歩させるのだが、豆蔵はすでに亡くなっている。空のリードをぶら下げて歩く姿は周囲の人から"認知症"だと言われていた。ところが海斗がリードを持つとその先には豆蔵の姿が…!そして、海斗は生と死のボーダラインにさ迷う者たちが見えるようになる。児童書ならではのシンプルな文章から、海斗がボーダラインに立つ人の力になりたいと行動していく様子が清々しい。セーラの謎が解けるラストも良く、ファンタジーながらもしらけることなく爽やかな読了感でした。2021/07/29
itica(アイコン変えました)
68
生と死の狭間に立っている人(ボーダレス)は何故、死後の世界に行かないのだろう。この世に心残りがあるから?だとしたらその理由は?祖母の愛犬だった今は亡き豆柴のリードを通して、普通は見えないボーダレスを見てしまった海斗のお節介が人々を救う。ちょっぴりせつなくて、あたたかい話だった。最後の奇跡が予想外で特に良かったな。 2021/06/08