出版社内容情報
四歳から小学校六年生まで、祖父とボクの物語。お祖父ちゃんはだいたいのものが、それがどんなに便利でも新しくても高価でも、気に入らない。朝起きて畑に行き、夜寝るまで一度決めたルーティーンは、正月だろうがなんだろうが変えない頑固者だ。そんなお祖父ちゃんのガキ大将だったころの話を聞くうちに、ボクは子どものお祖父ちゃんが大好きになっていく。
内容説明
死を知ることは、生を知ること。悪童だったお祖父ちゃんから、無言のエンディングメッセージ。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
172
記憶にある4歳の頃からの祖父・徳治郎と中学生になるまでのボクの話。ボクから見たお祖父ちゃんと母や伯母たちから見える父・徳治郎に、私は亡き父を思い出して最後はポロポロ泣いてしまった。ボクは引き出しの桐の箱を取り出さずとも、ずーっとボクの心の中に、家のあちこちにお祖父ちゃんの思い出があるね。頑固だけれども、一本筋の通ったこんな徳治郎お祖父ちゃんが恋しくてならない。大人が読んで沁みる作品だった。2020/07/22
chimako
74
【読書感想画中・高生課題図書】偏屈で頑固で怒りん坊のおじいちゃんとの6年間。おじいちゃんの「ちっせいとき」の話を聞くのが好きなボク。悪童だったと自慢げに話すおじいちゃん、お月見の話はおじいちゃんの十八番。犬のシロを連れて山の畑に日参する。ボクは大きくなり他の楽しみも知る。おじいちゃんが心筋こうそくで倒れる。心臓の痛さを我慢できるおじいちゃんが病院の生活は我慢できない。不登校になった従姉を交えた暮し。近しい人が弱って死んでいく様を見ることで大人になる。おじいちゃんが遺したものはタマムシだけじゃない。2019/10/11
信兵衛
30
祖父の思い出話を聞いたりする等、祖父と繋がり合うことができたというのは、とても貴重なことだろうと思います。2019/05/20
杏子
17
頑固で人の言うことなんか聞こうともしない、ぼくのおじいちゃん、徳治郎。4歳でおじいちゃんのことを知り、それから盆、正月、おばあちゃんの命日と、ぼくはおじいちゃんの家に行くたびに、おじいちゃんの「ちっせえ」時の話を聞かせられる。その話はわからないことも多かったけれど聞くのは好きだった。おじいちゃんとぼくとの間には、静かで穏やかな時間が流れていくが…。人の老いと死を考えさせられた。おじいちゃんは怒鳴ってばかりだったけれど、その声を聞いてきた家族にとっては、それはなくてはならぬものだったろう。2019/08/24
みよちゃん
10
おじちゃんの人生を小学生の目から見ていく。おじちゃんの娘から見る頑固な父が自分らしく生きる姿、孫が見る姿との繋がり方が、わかる様で、切ない年代になり、ここまで自分を貫いていくのはしんどい。2019/09/07