内容説明
「おれたちはまたどうどうとたたかおうじゃあないか」しとめたくてしかたがなかったはずのあいて、残雪がとびさるすがたを見まもりながら、大造じいさんは大きな声でよびかけます。かりゅうどとがんの、てきみかたのかんけいをこえた、あつい交わりをえがいたお話です。
著者等紹介
椋鳩十[ムクハトジュウ]
1905年長野県生まれ。法政大学卒業。受賞歴に『片耳の大鹿』で文部大臣奨励賞『孤島の野犬』でサンケイ児童出版文化賞・国際アンデルセン賞(国内賞)『マヤの一生』『モモちゃんとあかね』で赤い鳥文学賞・児童福祉文化奨励賞、“母と子の20分間読書運動”でモービル児童文化賞など。1987年没
あべ弘士[アベヒロシ]
1948年北海道旭川市生まれ。25年間旭山動物園の飼育係としてさまざまな動物を担当。『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞・産経児童出版文化賞JR賞『ゴリラにっき』で小学館児童出版文化賞『どうぶつゆうびん』で産経児童出版文化賞ニッポン放送賞『宮沢賢治「旭川。」より』で産経児童出版文化賞美術賞受賞など。ほか作品多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mint☆
97
先日読んだ本に残雪くんという登場人物がいて、その名前をこの物語から取ったというエピソードがあり、皆知ってるでしょ的なニュアンスだったにも関わらず自分は知らないと思い図書館で借りてきました。読んでみると確かに読んだことがある。残雪と名付けられたガンの群れのリーダーと猟師大造じいさんの数年に渡る闘い。怪我をした残雪を捕らえるのではなく保護する大造じいさんも漢気があるし残雪も暴れたり媚びるわけでもなく堂々としたその姿が良かった。いい話なのにすっかり忘れてました。2023/07/14
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
49
大造じいさんとがんの関係が素晴らしい。種を越えても、感じる所があったのでしょうね。二人(?)とも男前だ。2018/05/29
陽子
32
先日読んだ「リラの花咲くけもの道」で登場した作品。改めて絵本で読んでみた。あべ弘士さんの絵が良い。鳥とはいえ、堂々として賢く勇気のある、がんの「残雪」。自分の身を呈し危険を顧みないで仲間を守る姿と、じいさんと睨み合うその威厳。表紙を飾る、がんの眼力の一枚が強烈な印象。 椋鳩十は日本のシートン。この物語に描かれる動物と人間の関係は、決して心が通い合うという交流ではないが、「残雪」の統領としての生き様に人間が心を揺すぶられるという点では、じいさんの気持ち同様に、読者もすっぽりと共感してしまう。胸打つ物語だ。2024/04/26
ふじ
25
懐かしい。教科書に載っていたけれど、改めて読むと男のロマンをプンプン感じます。猟師のじいさんと獲物のがんのリーダー。正々堂々とした決闘。永遠のライバル。古い本しかなかったので、新しくなることで子どもたちにも手に取ってもらえたらいいな。2018/05/03
ヒラP@ehon.gohon
23
猟師の大造じいさんとがんの残雪との、緊迫した真っ向勝負が感動的でした。 がんの頭領の残雪の叡知と、仲間を思いやるリーダーシップ、堂々とした姿は、大造じいさんの心をとても真摯なものに変えました。 来年の闘いを楽しみにした大造じいさんでしょうか。 はやぶさと残雪の闘いも圧巻です。 清々しい気持ちで読み終えました。2018/02/21