内容説明
「ねえ、ウニマルって、ほんとうの船になるの?」こそあどの森のあちこちの地面から水がわき出しスキッパーたちは調査に行くことに…。
著者等紹介
岡田淳[オカダジュン]
1947年兵庫県に生まれる。神戸大学教育学部美術科を卒業後、38年間小学校の図工教師をつとめる。1979年『ムンジャクンジュは毛虫じゃない』で作家デビュー。その後、『放課後の時間割』(1981年日本児童文学者協会新人賞)『雨やどりはすべり台の下で』(1984年産経児童出版文化賞)『学校ウサギをつかまえろ』(1987年日本児童文学者協会賞)『扉のむこうの物語』(1988年赤い鳥文学賞)『星モグラサンジの伝説』(1991年産経児童出版文化賞推薦)『こそあどの森の物語』(1~3の3作品で1995年野間児童文芸賞、1998年国際アンデルセン賞オナーリスト選定)『願いのかなうまがり角』(2013年産経児童出版文化賞フジテレビ賞)など数多くの受賞作を生みだしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
75
完結(?)。静かに起こる洪水。8人の森の住人は無事だろうか。自然がつながりで成り立っていることを教えてくれた事件。これはひるがえって、私たち読者の世界への教訓でもある。ふたごのヨットが大活躍。よくカエル語・イモリ語をそれっぽく作ったなあ、と、作者の想像力に感心。12冊で完結だと聞いたが、ない物ねだりを承知で、ぜひ森の物語の続きを読ませてほしいと思う。2019/07/20
ひめか*
36
こそあどの森に出会って15年。ついに読了!いつもより長編に感じた。森に水が溢れた秘密を探っていく。ガラス瓶にコルクをはめたの、すみれさんの勘は素晴らしい。水が溢れたのはプニョプニョタケをみんなが美味しすぎて取りまくったせいなのではないかと思いながら読んでいたけど、そのキノコを食べて生きている生き物とも関係があった。生態系、森の循環、環境問題の話ともいえる。「自然ははかりしれない秘密をいっぱい隠している。一つのものを採りすぎたり使いすぎたりすると、バランスを崩してしまう」最終巻にして真面目なお話でした。2021/01/07
カール
27
こそあどの森シリーズ最新刊にして最終巻。ここ最近で後半の分を読んできましたが、読み終わるとなんだか一気に読んだ事がもったいなく感じました。人間は自然と共存している事。必要な物は必要なだけその時に。溜め込むことは無駄にする事に繋がっている。自分の生き方を考えさせられるお話でした。巻を追うごとに成長が感じられたスキッパー。たくさんの子どもたちに読んでもらいたい作品です。2017/07/27
七月せら
22
水の森になったこそあどの森。いつもとはまた違う美しい景色が広がるけれど、いつも通りの暮らしができずに困ってしまう人たちも。みなで力を合わせて片付けをしたり原因を調査したりと大忙しです。ものごとは複雑に絡み合っていて、そのバランスが崩れてしまった時に良くないことが起こったりする。子どもたちの知っている森の姿と大人達の知っている森の姿がスミレさんを介してふんわり溶け合っていくのが素敵でした。2020/07/19
木漏れ日の下
21
こそあどの森12作目。この巻が最終巻らしくて、感慨深いような淋しいような何とも言えない気持ちです。今作ではこそあどの森が水浸しになります。一体何があったというんでしょう。長い時間をかけてバランスがとれるようになっている自然に人が手を加えすぎたり、何かを取りすぎたりすると何処かでバランスが崩れる。きっと今もポットさんはトマトさんの頬にキスしてて、スミレさんはハーブティーを飲んで、スキッパーはこそあどの森を散歩してるんじゃないかと思います。10年20年先の子供達にも読み継がれていますように。2019/02/12