出版社内容情報
屋久島の狩人にとって、勇猛な「片耳の大シカ」は、いつか仕留めたい相手だった。あるとき、少年と狩人たちは嵐のなか、命からがら逃げ込んだ洞穴で、「片耳」がひきいるシカの群れとともに冷えた身体を温め合う。自然界に生きるものたちの命への慈しみを描く、椋鳩十動物文学の最高傑作。5作品を収録。
著者等紹介
椋鳩十[ムクハトジュウ]
1905年、長野県に生まれる。法政大学文学部を卒業後、山の民を主人公とした作品で脚光をあびる。のち児童文学に移り、動物文学の第一線で活躍。1987年没
小泉澄夫[コイズミスミオ]
1942年、神奈川県に生まれる。青山絵画研究所などで修学後、イラストレーターとして活躍。第十二回日本絵本大賞/新人賞佳作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ハッカ飴
3
孫へのプレゼントの本探し。区立の子ども図書室で読了。自然は厳しくもあり、やさしくもある。生きることの強さやはかなさ。文明とは。いろいろなことを語りかけてくれる。心の深いところをぐっとつかまれ、子ども図書室で涙を流しながら読んだ。子どもたちには妙なおばあさんに見えただろうな。2019/07/06
ねっしー
2
引き続き、名作選2冊目。まずは野生のシカやイノシシの逞しさに目を見張る。それを追う狩人と犬との闘いは、ともに頭と身体をフルに使った一瞬の判断が鍵となる。最後は、里山を失った代償を顕にした作品。本来の「自然」とは何か、改めて考えさせられた。2016/04/29
まつたけ
1
人と生き物。どちらも自分達が生きるために一生懸命で、誰が悪い何が悪いはないんだよなあ。2016/08/06
Hiroyuki Nakajima
0
多分中学生の頃読みました!
ただのわたし
0
小学校の教科書に載っていたり、学校の図書の時間に読んだりして、好きだったな〜。大人になってから読んでみると、動物たちを、「駆逐される獣」という存在ではなく、もっと敬意を持って描いているのがわかる。自然の恐ろしさ、その中で生き抜く動物たちと、狩猟者の命のやりとりをみたような気がした。それにしても、実際、狩りの最中には猟犬はよく命を落としてしまうのだろうか…。犬たちの置かれた立場を思うととても切ない。2019/07/31