内容説明
理枝は東京の会社を辞め、母親の反対を振り切って、山村の養蜂場「蜜蜂の家」で働くことになった。リストカットの傷をもつシングルマザーの女性経営者はじめ、ぶっきらぼうだけど蜂への情熱は人一倍の先輩や、摂食障害で心を閉ざしている同僚など、一風変わった人たちに囲まれた職場で、理枝の新しい日々がはじまった。自然の中で数万匹のミツバチと共生する新しい職場。そして、閉ざされていた私の世界が、少しずつ花開きはじめる。芥川賞作家が描く清々しい青春文学。
著者等紹介
加藤幸子[カトウユキコ]
1936年、北海道札幌市に生まれる。5歳から11歳までを北京で過ごす。北海道大学農学部を卒業後、農林省農業技術研究所、日本自然保護協会に勤務を経て、現在は、作家。1982年『野餓鬼のいた村』で第14回新潮新人賞、83年『夢の壁』で第88回芥川賞、91年『尾崎翠の感覚世界』で芸術選奨文部大臣賞、02年『長江』で毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆうゆうpanda
46
図書館で子供用の棚に並んでいた。俳句の兼題の「蜂」についての調べたくて手にとった。芥川賞作家とは知らなかった。昨日読み終わった『日本ミツバチ』という養蜂を始める人向けの本の補足に丁度良い長さだった。が、芥川賞作家とは思えなかった。時々イマドキの女子を思わせる話言葉的な文体が混じる。わざとなのだろうが、そこで興ざめしてしまった。男性を意識しすぎの主人公で、花から花へだなと鼻で笑ってしまう部分あり。もっと蜜蜂に真摯に向き合う主人公も描けたのではないかと残念に思ってしまった。変にべとつく甘さの後味の蜜だった。2017/01/13
はるる
6
恋人との別れをきっかけに養蜂の世界に飛び込む理枝。自然に囲まれ、日本蜜蜂の世話に夢中になる毎日はまたたく間にすぎ、かつて父親が自殺したことも、その後生じた母親との確執も、次第に俯瞰できるようになっていく。日本蜜蜂の蜜のように、ささやかで静かで滋養に満ちた一冊。2020/08/23
らじこ
4
なんだかあまりに都合よくトントン拍子に事が運んでいくのでやや現実味に欠けるが、とにもかくにもこの本は養蜂!養蜂の様子が本当に素敵。養蜂をやりたくなってしまうくらいに魅せられる。キャラクターの掘り下げが足りずほとんど誰にも共感は出来ないし、仲間の絆を感じたり人間関係に感動したりということはない物語だけれど、この本を読んだ後は養蜂や蜂、蜂蜜などに興味が出てきてしばらくの間ワクワクが止まらなかった。もっと仲間との関わりを掘り下げてくれたらと少し残念に思う。2013/04/30
らら子
3
蜂に受粉してもらった苺はキレイな形になると聞いたことがあります。東京の都心のビルにも養蜂場があるそうですね。この本を読んでほっこりとした気持ちになりました。我が家のまわりはアシナガバチだらけですが、北海道の実家のまわりは黄色と黒のふわふわな毛におおわれた可愛らしい蜜蜂がたくさんいました。懐かしい風景が浮かんでくる一冊でした。2014/05/01
ようこ
3
途中までよかったのですが、ちょっと都合がいい展開では2008/10/16




