内容説明
ある夜、おじいさんの前に見知らぬ少年が現れて「お話をはじめて」とせがむ。―それがすべての始まりだった。やがて舞台が作られ、人形が動きだす。…迷走する芝居の行き着く先は?はるか洋上の海賊船で、黒猫が船長に語った長い長い物語。重なりあう虚構と現実―出色の新人作家登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おゆ
18
客電落ちる、客席には本を抱えた私。開幕。明転、港。船長は酒場の片隅で怪しげな黒猫と出会う。暗転、家。意固地な老人がある日思い立って人形芝居を始める。幕間、人形たちによる人形たちのための劇中劇。芝居はやがて現実を越え、人形はいつしか操られることをやめて出掛けた。客電上がる、人形使いが人形に、人形が人形使いに問いかける。さて演じているのは誰で見守るのは誰なのか。導入はさすが、中盤やや冗長に、終盤語りすぎの気はありつつも、満足のうちに読了。やはり語りの巧さ、これに尽きる。読み終えてすぐまた冒頭に戻りたくなった。2019/04/26
寧々子
5
表紙の黒猫がずっと気になっていた本です。 現実と人形芝居の舞台が混沌と入り混じるのでクラクラします。 黒猫のトマは物語の語り手役で主役ではなかったのが猫好きとしてはちょっと残念! 自称高貴な生まれで物事を論理的に解釈しようと試みたりする賢いだけでなく、お祖父さんを助けようとしたり人形たちと話したりと大活躍するので大好きです♪2012/02/08
ヒナ
2
猫がホントに猫らしくて嬉しくなってしまった。 それはさておき、児童書と侮って読み始めたら、なかなかしっかりした本で、最後は暖かい気持ちになれました。2016/03/27
たかこ
2
図書館の新刊コーナーにあった本。黒猫の絵がかわいくて、全然予備知識もなく借りてみました。 後で知ったのですが、これって児童書だったようです。どうりで、字は大きい・ふりがながついているんですね。 話は結構複雑です。現実の話、劇中劇の話が絡んだ状態で物語が進みます。途中でわけわからなくなりそうながらも、ちゃんと筋道が通ってるところがすばらしく、話にどんどん引き込まれていきます。 最後、黒猫が海賊船に乗る理由がわかるあたりでちょっとホロっときます。 でも、児童書にしてはちょっと話が入り組んでいるので、星4つです2007/12/28
さだはる
2
久しぶりにファンタジーを読みました。そのせいか、ちょっとややこしい気もしましたが、新鮮に感じて、結構楽しめました。ファンタジーをよく読む方にはいまひとつかもしれないなとは思わなくもないですが…。海賊パイクが一番好き。いい奴ですもん。2014/12/03