内容説明
もうすぐ16歳になるリズは、車のひき逃げ事故にあってしまう。気がついたときには、大きな船に乗っていて、見知らぬ港に入ろうとしていた。到着地は、地上での人生を終えた人が暮らす地「Elsewhere」。そこは、人が時間をさかのぼる世界。つまり、1年ごとに1歳ずつ若返っていくのだ。大人になることができないリズは、自分の若すぎる死を受け入れられず、新生活にもなじめない。しかし周囲の温かい目に見守られ、そして、双眼鏡をとおして見る地上の様子に深く考えさせられながら、徐々に心をひらいていく。やがてひとりの青年に恋心をいだいていく…。
著者等紹介
ゼヴィン,ガブリエル[ゼヴィン,ガブリエル][Zevin,Gabrielle]
1977年ニューヨーク生まれ。ハーバード大学を卒業したのち、映画の脚本の仕事に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
YA出版会の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茜
121
図書館の書棚を見ていたら、すーっと目に止まったのがこの本でした。天国とか私は信じないけれど、この本は発想が素晴らしいと思いました。不覚にも親友ゾーイの結婚式で弟のアルヴィとの会話のところで涙が溢れてしまった。こういう出会いがあるのだから読書をやめられないんだよね。2021/02/12
はる
77
15歳の少女リズは交通事故で突然死んでしまう。だが気がつくと、彼女は客船に乗って不思議な島にたどり着く…。そこで始まる穏やかで優しい日々。それでも自分の死を受け入れられず、悲しみにくれて家族と接触しようとするリズが哀しい。死んでしまっているのにおかしいが、これは少女の青春物語でもある。多くのことを学び、恋をして、人間として成長していくリズ。こういうタッチはいかにもアメリカ的で、好みが分かれるかも。ラストは優しいが、切なかった。2020/02/25
白のヒメ
57
15歳という若さで死んでしまった主人公。気が付くと大きな船に乗っている。一体自分はどこへ行くのだろう・・・。作者の考える死後の世界、そして輪廻転生の仕組み。この世とあの世は巨大な樹木のようなもので、地面を挟んで根っこと枝として繋がっているという感覚に非常に同意。この世では年を取って老人になり死に、あの世ではだんだん若返って最後は赤ん坊になってあの世を去るという設定も面白く腑に落ちるものになっていて感心した。生きていても死んでいても人生は結局続く・・・。心に温かい読後を残す良書。2018/05/06
katsubek
46
正統的なビルドゥングスロマンである。ヒロインは内面での成長を遂げる。肉体的には決して成長をしないのではあるが。生きるとは何であるかと真剣に向き合うことを求めてくる。さあ、あなたはどう生きるのか、と。思った以上に思慮を求めてくる作であった。しかも、重苦しさを感じさせない流れは素直に楽しかった。大人も子どもも楽しめる本だ。お試しあれ。2020/06/13
イチ
37
ちょっと切ないけど心がフワッと温かくなる物語。死後の輪廻転生を描いてます。プロローグが「終わり」でエピローグが「はじまり」という構成が印象深い。死んだ年齢から若返りながら生まれ変わるという発想が斬新。ベンジャミンバトンが分かり易いかと思う。15歳のリズは交通事故で亡くなり、客船で航海しあの世の『ドコカ』へ到着する。死を受け入れられない彼女は嘆き、苦しむが、沢山の人々との出逢いが彼女の心を溶かしてゆく。ドコカでの15年の人生を色々なエピソードを交えた物語。課題図書にも頷ける良書です。2019/02/10