内容説明
家の正面には無数の白いバラが咲きみだれ、見ているとくらくらするほどだった。あの夜も、どこかで戦争は続いていたんだと思う。でもそれは、この“あたしたち五人だけ”の生活には手出しできなかった。恋と情熱と畑仕事とスパイ活動からなる生活には―そんなとき、ひとりの訪問者がやってきた…。世界を涙で包み込んだ愛と癒しの物語。ガーディアン賞・プリンツ賞受賞の超話題作。
著者等紹介
ローゾフ，メグ［ローゾフ，メグ］［Ｒｏｓｏｆｆ，Ｍｅｇ］
四人姉妹の次女としてボストンに生まれ育つ。ハーバード大学へ進んだが、アイビーリーグ的なものにうんざりして、しばらくはイギリスで過ごした。卒業後は、ニューヨークで出版や広告の仕事をしていたが、妹を病気で亡くしたとき、「生きている時間は短い」と感じて、やりたいことをやろうと小説を書きはじめた。デビュー作の『わたしは生きていける』でガーディアン賞とプリンツ賞を受賞。現在は、画家の夫と娘とともにロンドン郊外に暮らしている
小原亜美［オバラアミ］
翻訳者
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感想・レビュー
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空猫
28
映画化されていたので原作を図書館で予約してたんだった。NY育ちの女の子がロンドンの伯母の農場へ引き取られる所から始まるのだが、全て彼女デイジーの独白のような文で慣れるのに大変だった。英国でテロから戦争が始まった。何が起こっているか分からないまま家を追われ、電気は止まり、食料は配給になり戦争の色はどんどん濃くなっていく中でのデイジーの成長物語。庶民が戦争に巻き込まれていくさまってきっとこんな風かもとその曖昧な描写に現実味を感じた。人が生きるとは食べる事。居場所を見つける事。守る人を見つける事。それくらい。2017/09/26
星落秋風五丈原
14
家の正面には無数の白いバラが咲き乱れ、見ているとくらくらするほどだった。あの夜もどこかで戦争は続いていたんだと思う。でもそれはこのあたしたち五人だけの生活には手出しできなかった。恋と情熱と畑仕事とスパイ活動からなる生活には。そんな時、一人の訪問者がやって来た。2005/05/26
ブルーベリー(ゆっくりペースで)
14
映画が良作やったので、小説も。第三次世界大戦が突如始まったイギリス。彼氏に再び会う為、デイジーの決死の旅を描いた物語。小説の方が救いのある展開やったけど、私は映画の方が好き。「私は生きていける」ていう思いがより一層伝わってくる気がしたので。2015/05/07
margo
12
「誰かが自分のことを観察しているのに一度気づくと、その人のことを観察せずにはいられなくなる」 一市民から見た戦争、恋、サバイバル。映画のエディ（本ではエドマンド）は文句なしに頼りがいのあるイケメンだけど原作は主人公より1歳下で背が低くありふれてないカッコよさ。デイジーがエドマンドのことを「かしこい犬みたい」と形容するのがすごくいいな。登場人物の造形が絶妙で大人がいない田舎が舞台というのも好みだった。 「ライフ・オブ・パイ」とともにサバイバルに備えよう小説。植物の知識は生き延びるのに大事！2016/04/02
Melotte 22
9
戦争を描いた物語には、いつだってすごい人が出てくる。だけど、この物語に出てくるのは普通の女の子。戦争を美化してはいけない。戦争を正当化してはいけない。それと同じくらい『生きている』ことを当たり前のことだと思ってはいけない。デイジーの花はそっと語りかける。『平和』『希望』そして『あなたと同じ気持ちです』と。デイジーはすごい花じゃない。どこにでも咲いている普通の花。だけど、その願いは普通の人たち共通の願いだ。だから、わたしは生きていける。争いのない世界を信じて。今日もどこかで、その花が色づき始めるのを信じて。2016/08/22
