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内容説明
平安時代の初期、京の都でさまざまな不気味なできごとがあいついだ。まず、そのころ朝廷でならぶ者のない力をもっていた左大臣藤原時平が、とつぜん重病にかかり、三十九歳で亡くなった。死のまぎわ、時平は「道真が取りついたな!」とさけんだという。その前年からは異常気象がつづいていた。干ばつや洪水で不作がつづき、疫病がはびこって、京の町を死体が累々とうめつくした。いよいよ、道真の復しゅうが始まったのだ!都の人びとは、無実の罪で左遷され、悲嘆に暮れながら病死した道真の怨霊のせいだと、うわさし合った。
目次
都に不気味な事件あいつぐ(左大臣藤原時平公急死―道真公の怨霊説が急浮上;祈祷も効果なし―災害やまず ほか)
学問の世界から政治のトップに―道真公の華麗な転進(文章博士―菅原家から三代連続;胸をうつ「寒早十首」―「貧窮問答歌」と双璧との評価も ほか)
栄光の昇進から急転―悲劇の主人公へ(右大臣を左遷―謀反計画はあったのか?背後に時平公の影;道真公配流の地へ―「東風吹かば」の歌を残して ほか)
怨霊から神へ―道真公の人気ますますひろがる(占いも政治の一部―タブーやジンクスにしばられた日常;道真公、ふたたび右大臣に―没後二十年の復権 ほか)
著者等紹介
小西聖一[コニシセイイチ]
1939年、愛媛県に生まれる。早稲田大学大学院修士課程(日本史)修了後、放送作家として活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
71
他館図書館本 文章博士…、菅原道真で有名な役職なのですが清少納言の枕草子でも取り扱われているのですね。「私が男だったらぜひなってみたい」と…。 そして時平vs道真の逸話では学問に劣る時平のねたみで道真に呪詛をかけたのだとか…?呪いが本当にあるのかどうかは疑わしいですがいつの世も人間関係というものは嫌な側面を持っているということです…。 new日本の歴史でも大鏡は取り上げられていたのですが大鏡は藤原氏に辛口な気がしますね…。角川ソフィアから出ているようなのでいつか読みたい。2021/04/11
ほんわか・かめ
16
菅原道真公は実直に学問に励み、実力で右大臣まで上り詰めたのに、藤原時平をはじめとする権力抗争に勝手に巻き込まれ、罪人の如き扱いで太宰府に左遷される。都では病が流行り、天皇に近しい人々が次々と早逝してしまう。半世紀以上経っても怨霊として恐れられた道真公が、どのようにしてのちに学問の神さまとしてまつられるようになったのか。道真の弟子で太宰府左遷にも同行し、最期を看取った味酒保行が語る形式の物語。漢詩や和歌も挿入されていて道真公の心情も伝わってくる。道真公の家族にまで及んだ冷遇に慄く。2023/01/22