内容説明
私が一茶にひかれるようになってからかなり歳月がたつ。関係書もずいぶん読みあさった。私は一茶という凡人の人間性にひかれた。くり返しくり返し日記を読みこむうちに遺産相続に賭けた彼のねばりとしたたかさが痛烈に胸に迫ってくるようになった。―彼は行ないすました俳聖でもなんでもない。六欲兼備の凡人だ。だから、そのいやらしさをもふくめて“凡人一茶”にひかれるのである。
目次
1 親のない雀
2 西国紀行そして父の死
3 遺産相続への執念
4 燃えさかる執念
5 ついに執念みのる
6 ちらつく女性の影
7 52歳の初婚
8 うちつづく死
9 一茶の虚構と推敲
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
駄目男
5
幼少期、三歳で生母と死別、八歳の時に継母が来て、二年後、腹違いの弟仙六が生まれ、その後は継母に虐げられる毎日。継母からの虐待を見かねた父に十五歳で奉公に出され三十九歳の三月に帰郷するまでのことはよく分かっていないが、俳句で身を立て、将来は宗匠として一家を為すために全国行脚を繰り返し弟子を募って行ったようだ。父の死後、遺産相続問題が起こる。妻を娶ったのは一茶52歳の時で、それ以後は有名な精力絶倫の記述。十二日三交、十五日三交、十六日三交、十七日三交、十八日三交、十九日三交、廿日三交、廿一日四交、あり得ない。2018/01/06