内容説明
本書は、ベルクソンの第二の主著とされる『物質と記憶』における、精神と物質の実在性の論証構造を解明するものである。
目次
外界の観念性(「外界への私の信念」の起源と発生およびその身分;「イマージュ」の観念;「純粋知覚理論」)
観念の本質(「純粋記憶理論」―記憶と身体;「純粋記憶理論」―身体とは「別のところに」;「純粋記憶理論」―記憶の本質と知覚の外部性)
著者等紹介
石井敏夫[イシイトシオ]
1960年生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、慶応義塾大学助教授、博士(哲学)
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感想・レビュー
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里のフクロウ
1
ベルクソンの「物質と記憶」における精神と物質の実在性の論証構造を解明することをテーマとした論文である。ベルクソンの論証が理解困難であるからとなっているが、どっこい本論文もそうたやすく取り組めなかった。それでも論証構造の外観は見えてきたように思う。論証構造の骨格は「間接論証」にある。物質と精神を直接論証の対象とすることができないため、純粋知覚と純粋記憶を措定し、これの無意識性から精神の外部性を論証することにより一般精神の実在性を証明し、2017/05/22
Bevel
1
リズムという観点において科学的対象と知覚に権利上近づく話や、純粋記憶が運動記憶とは関係なく、いくつものあり方で現れる話が興味深かった。「役に立つ」純粋記憶力は物質化するが、他方で身体のイメージとは関わらない純粋記憶が存在しうるかもしれないなど、記憶が本質的に外部に開かれているという捉え方も元気が出てよいと思う。2012/06/01