目次
第1講 哲学的信仰の概念
第2講 哲学的信仰の内容
第3講 人間
第4講 哲学と宗教
第5講 哲学と非哲学
第6講 未来の哲学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いとう・しんご
9
「ところで未来のための生ということは、私たちの仕事の本質的な意義をなすものであろうか。私はそうは思わない。(略)来的なものは未来にあるとあらかじめ期待してはならない。」P188は、O・パス「孤独の迷宮」の「未来は、いつも我々に対して「まだその時ではない」と言ってはごまかし、そして我々を無視する不実な時である。未来が愛の時ではない。(略)未来の幸福のために家を建てる者は、現在に監獄を築く人である。」p269と共鳴しあう。何度読んでも発見の多い本。2025/02/09
いとう・しんご
9
聖書に代えて、死の床に持って行くべき本と、大枚を叩いて古書を購入して再読。新しいものは古いものよりも良い、という思い込みを捨てたとき、古いものの蓄積との交わりが始まる、とヤスパースは言うのです。そして、そうした人類の知の歴史を介した他者とのコミュニケーションがともに祈りあうことへと導くのだ、と言うのです。また、時期を置いて繰り返し読み返したい本。2023/03/14
いとう・しんご
8
'48年刊行の本書は、「哲学」「真理について」に続くヤスパース哲学の展開を示すコンパクトだけど大事な著作。「人間の進む道は、己れの可能性と神の導きとに対する信仰から出発する」p92、「絶対に真実なものという不遜は、世界内の真理を破壊する。」p94、「ところで未来のための生ということは、私たちの仕事の本質的な意義をなすものであろうか。 私はそうは思わない。というのは私たちは、今現在事柄を成就する限りにおいてのみ未来にも奉仕することになるからである。 」P188など非常に魅力的。 2022/09/10
ヤスミン
0
哲学を通して信仰の中味をこれだけ具体化するヤスパースにあっ晴れ。林田氏のヤスパース解説もよかった。2011/12/10