内容説明
歴史は、その男フーシェを“変節漢”と呼んだ。革命の名の元に国王を殺し、警察長官として人々に怖れられ、ナポレオンを擁立するや、その失脚に陰謀をめぐらす。裏切りと変節の悪名のみ高い政治家。フーシェの実像とその時代を新史料で生き生きと描く。
目次
第1章 国王殺し
第2章 政治の激浪の中で
第3章 リヨンのテロリストとパリの清廉な吸血鬼の死闘
第4章 警察の立役者
第5章 栄枯盛衰
第6章 巻き返し
エピローグ―哀愁の幕切れ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウラー
2
フーシェ伝としては大変面白く読めたが、どうにも『国王殺し』というキーワードを重視し過ぎているように感じた。フーシェについてよく知るわけではないが、彼の後半生が全て国王殺しの十字架から逃れるため選択であるというのは言い過ぎだと思う。2017/03/12
Zen-zen
0
人類史上最高の政治的風見鶏(←褒め言葉)であるジョゼフ・フーシェの評伝。フーシェの評伝としては最も有名なシュテファン・ツヴァイクの「ジョゼフ・フーシェ」よりはもう少し彼に対して好意的。本来は評伝なのだから冷静な観点が求められるのだが、老齢の筆者の筆が滑り、日本国憲法や日本の政治家たちへの批判が出てくるのが微笑ましいような、興醒めなような。とはいえフーシェという人物の生き様が凄過ぎるので、彼について書かれた本はたいてい面白く読める。2012/12/20