感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐藤一才
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岸田劉生に関しての論文を書くために借りた本だ。資料程度にしか考えておらず、抜き出して読もうかと思って開いたが、どうやらそういう本でないことはすぐにわかった。劉生の娘である麗子、というより、かの有名な絵画のモデルの“麗子”であると言った方が分かるだろう。劉生の知られざる私生活を淡々と書いている。身内とは思えない文面で私情が全く挟まれない。読んでいても著者の理性、知性に驚かされる。私は最初から最後まで時間をかけて読んでしまった。その要因のひとつには、想像以上に劉生が魅力的な人物であったことも当然含まれる。2012/12/22