感想・レビュー
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かわかみ
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鎌倉幕府の創建に貢献した大江広元の曽祖父である匡房は、摂関政治が終わり院政が始まる時代、すなわち古代から中世への転換期に学問をもって朝廷に仕えた。その学芸の範囲は儒教、道教、陰陽道、仏教から漢詩、和歌にまで及び当代きっての知識人だった。本書を読む目的は院政という新たな政治体制が生まれるにあたって大江匡房が陰のキーマンとしてどのような仕事をしたかを知ることだった。その点では不満足な内容だったが、成熟した朝廷や、みやこびとたちの様子を窺い知ることはできた。匡房の院政創始への貢献については別途、調べたい。2021/12/07