出版社内容情報
江戸時代、幕府の命で人々は仏徒となることを義務づけられ、寺は特権的立場を得たといわれてきた。だが内実は、制度の恩恵外におかれ、火の車の零細寺院が無数に広がっていた。収入減と増える借金、資産処理をめぐる檀家との対立、先代住職の老後保障など、課題山積の経営状況を活写。寺の存続をかけ、地域を巻き込み展開した住職たちの苦闘に迫る。
内容説明
収入減と増える借金、檀家との主導権争い、先代住職の老後保障…。経営難に陥る零細寺院の姿を描き、幕府に優遇されたとする江戸の仏寺イメージを払拭。寺の存続をかけ、地域を巻き込み展開した住職たちの苦闘に迫る。
目次
現代につながる江戸の仏教―プロローグ
近世寺院とはなにか(仏教を取り巻く社会環境;寺檀制度の外側)
苦しい台所事情(禁制宗派の生きる道;進む過疎、消える住職 ほか)
寺の経営戦略と地域(寺院資産は誰のものか;知名度を上げろ)
近世寺院が語るもの―エピローグ
著者等紹介
田中洋平[タナカヨウヘイ]
1976年、北海道に生まれる。現在、淑徳大学人文学部准教授、博士(史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
127
江戸時代の寺院は幕藩権力の出先扱いで優遇されたとのイメージがあったが、実際は今と同じ経営の難しさに直面していた。檀家だけではやっていけず借金を重ねたり、境内の樹木を売り払った住職が夜逃げする寺も珍しくなかったとは。農民が大都市へ流れ住民が減った地方では、寺が耕地を所有しても小作人を集められなかった。住職が老病で退任しても、後任に金銭を要求し事実上の売買が行われていた。まさにカネカネカネの世界だが、檀家が黙っておらず介入したり、開帳で観光化を図る例もあったのだ。なまぐさ坊主でなければ宗教はやっていけないか。2025/04/23
Go Extreme
1
制度と統制: 本末制度 寺院法度 江戸幕府 国家体制 監督 宗門改役 宗教政策 管理強化 天草・島原一揆 統制強化 寺院の構造と経営: 曹洞宗 修行期間 階層構造 住職転任 借財 無住寺院 檀家数 経済的負担 寺院経営 影響 増減 地域社会との関係: 村社会 住民支援 経済関与 信仰 つながり 宗教活動 地域経済 負担共有 村と寺院の連携 支援関係 未来への展望: 宗教政策改革 教団管理 寺院の役割変化 多様な経営戦略 信仰維持 地域協力 未来構想 経済的持続性 社会的役割 適応力2025/02/19