内容説明
言語は文化の一形態としてそれ自体精神の所産であると共に、また諸文化の担い手として文化の根源であり、社会も歴史もこれによって支えられる。文学も哲学も言語なくしては存在し得ない。本書は言語の本質に対する自覚と反省をふまえて母国語の歴史の断面に独創の分析を加えた劃期の論集。およそ日本文化に関心をもつ人士必読の文学である。
目次
言語の歴史
口語の慣用の徴証につきその発掘と評価
かなはなぜ濁音専用の字体をもたなかったか―をめぐってかたる
「あめつち」の誕生のはなし
音便名義考
国語現象としての外国語の流入
文字をめぐる思弁から“龍麿かなづかい”のゆくえを追う
郡名および郷名「綴喜」について
粗描かなの成立とその機能
語学資料としての語り本平家物語
言語史上の室町時代
中世における文体の崩壊の問題
狂言のことば
コリアドの辞書に方言ありや
「コリアドの辞書に方言ありや」跡追