出版社内容情報
平安末期に登場した武士たちが身につけた庶民の作業着「袖細」は、武家の世の到来とともに彼らのトレードマーク「直垂」へと進化を遂げる。武士たちは直垂をどのように着こなし、服装の制度を定めたのか。有識故実の知見と豊富な絵画史料を駆使してその実態を明らかにする。服装から武士のライフスタイルを読み取り、武士社会の特質に迫る注目の書。
内容説明
平安末期に登場した武士が身につけた「袖細」は、武家の世になると彼らのトレードマーク「直垂」へと進化する。武士たちは直垂をどのように着こなし、服装の制度を定めたのか。有識故実と絵画史料を駆使して実態に迫る。
目次
第1部 武士の出現、直垂の誕生(直垂以前;袖細から直垂へ;直垂の誕生、武士の誕生)
第2部 武士と直垂の「成長」―中世前半期(鎌倉武士たちの直垂;絵巻物に描かれた鎌倉武士たち;身分指標としての直垂;鎌倉幕府の儀礼観と服制)
第3部 進化する直垂と武士の発展―中世後期から近世(進化する直垂;室町幕府の儀礼観;直垂とその周囲;大紋・素襖・肩衣・胴服)
著者等紹介
佐多芳彦[サタヨシヒコ]
1963年神奈川県に生まれる。現在、立正大学文学部史学科教授、博士(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
9
著者は大河ドラマで衣装考証も手掛ける研究者。マニアックな分野故ちょっと身構えて読んだが、図版も多く内容も読みやすい。武士の衣服の典型たる「直垂」の誕生と発達を通して、武家儀礼や服制の発展を説く。貴族ばりに絹製の服を着た平家の人々や、位階が上昇しても無位の正装たる水干を着続けた源頼朝らに代表されるような平安末~鎌倉期のごちゃ混ぜを経て、室町期に武家服制は固まってくる。普段着だったはずの直垂がハレの正装となり、代わりの普段着として「大紋」や「素襖」が派生してくる。武士の身分上昇とともに衣服も変わるのが面白い。2024/04/20
田中峰和
5
平安末期に登場した武士たち。彼らが身につけたのは庶民と同様の作業着「袖細(そでぼそ)」だった。武家の世が到来すると、彼らの衣装である袖細は新たなトレードマーク「直垂(ひたたれ)」へと進化を遂げることになる。彼らは直垂をどのように着こなしたのか。服装の制度をどう定めたのか。有識故実の知見と豊富な絵画史料が利用され、その実態を明らかにされる。今、我々がテレビで目にするのはNHKの大河ドラマくらい。民放で再放送される時代劇は、時代考証もいい加減。服装から武士のライフスタイルが読み取れる本書はありがたい。2023/12/12
Abercrombie
2
武士装束の代名詞というべき『直垂』。「吾妻鏡」や絵巻物など多くの史料を執拗に読み解くことにより、その誕生から進化までを考察したマニアックな一冊。武士が歴史の舞台に登場した院政期、彼らの着ていた『袖細』が、その社会的地位の上昇に伴い、朝廷服制の最底辺たる『水干』と結びついて『直垂』が生まれ、材質や技術の向上等により、礼服の『直垂』、準礼服の『大紋』、普段使いの『素襖』へ細分化。戦場での動き易さから袖無しの『肩衣』→『裃』が派生し、『素襖』が洗練されて『胴服』→『羽織』へと進化していったとは驚くほかない。2024/03/14
onepei
1
頼朝のこだわり?がおもしろかった2023/12/17
takao
1
ふむ2023/11/19