出版社内容情報
今日、私たちは江戸時代と地続きの時代に生きている。これまで貧困で抑圧的な「封建時代」と、勧善懲悪の時代劇イメージで語られてきた江戸時代だが、実際は現代の生活を基礎づける諸制度・システム・意識を作り出し、世界史上まれな平和な時代であった。そんな豊かで成熟した?リアル江戸?の魅力を平易に解説。江戸時代の見直しの必要性を説く。
内容説明
貧困で抑圧的、勧善懲悪の時代劇イメージで語られてきた江戸時代だが、実際は平和で成熟した文明国であった。現代の生活を基礎づけるシステム・意識を作り出した“リアル江戸”の魅力を平易に解説。江戸時代を見直す。
目次
はじめに モデル「喪失」と「創出」の時代
1 日本史の転換点―「神仏」「自然」「戦争」から「文明」へ
2 「平和」の浸透―首都江戸と官僚システム
3 吉宗と国家再編―「統治」と「危機管理」
4 「文化力」「教育力」とリテラシー―日本型文明の成熟
5 大奥ファーストレディとキャリアウーマン
おわりに 江戸の権力構造―分散と下降と
著者等紹介
大石学[オオイシマナブ]
1953年東京都に生まれる。1976年東京学芸大学卒業。1978年東京学芸大学大学院修士課程修了。1982年筑波大学大学院博士課程単位取得退学。現在、東京学芸大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
95
大河ドラマ『青天を衝け』では渋沢栄一ら徳川幕府の武士官僚が明治新政府に多数出仕し、西洋文明を導入した国造りに励む様子が描かれている。こうした江戸時代からの基盤があればこそ近代日本は独立国家として存続でき、21世紀の今日まで続く現実を突きつける。兵農分離により2世紀以上も平和が保たれた社会では教育や生活水準が向上し、八代吉宗により官僚機構が整備され法治主義が進んだのだ。一方で強いリーダーがおらず指導性の欠如と責任の所在不明という問題も生じたが、犠牲を出さず社会を維持するシステムは同時代に誇るべきものだろう。2021/10/05
to boy
17
明治維新により封建制の江戸から断絶した近代化に突然変化したのではなく江戸から明治~現代へと連続した変化であると主張する著者。時代劇にあるように武士が勝手に町民を切りつけたりするのは虚構であり、江戸時代は法に基づき武士も町民も農民も管理されていた。将軍でさえ独裁者ではなく老中やその下の官僚と合意を基に政を行っていたとの事。現代日本の特徴である共存、同意性、合意性、官僚による政治などの萌芽が江戸で生まれたとのこと。大変読みやすい文章で江戸を見直すいい機会になりました。2021/10/30
スプリント
12
時代で区切られていると過去とのつながりが途絶えているように感じてしまうが脈々と現代につながっているのだということを実感できた。2023/12/13
果てなき冒険たまこ
3
この手の江戸時代を家康入府から大奥まで一気に紹介しようという本だけど、章立てによって興味を惹かれるものとそうでないものとはっきり分かれるなぁ。学者さんにありがちな羅列方式で語られると興味のない項目は読むのつらいよ。それに裏表紙に曰く「現代の生活を基礎づけるシステム、意識を作り出したリアル江戸の魅力を平易に解説」とあるけど、現代につなげる解説をしたいがために強引な関連付けとかは特に必要ないと思うけどな。イメージだけで繋がってるかどうかわかんなかったし。2022/11/30
Go Extreme
3
モデル喪失と創出の時代に向けて 日本史の転換点―神仏・自然・戦争から文明へ:家康はなぜ江戸を選んだか 転換期の将軍たち―家康大名行列は見て見ぬふり 花開く江戸テクノロジー モダンへと向かう時代 平和の浸透―首都江戸と官僚システム:愚かなるはひとりもなし・兵農分離とリモート行政 首都江戸と首都圏多摩 江戸市中から眺める冨士の絶景 家康の遺骸はどこにあるのか 刀を抜かない武士たち 吉宗と国家再編―統治・ガバナンスと危機管理リスクマネジメント 文化力・教育力とリテラシー 大奥ファーストレディとキャリアウーマン2021/07/16
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