出版社内容情報
踊念仏で知られる一遍の生涯を描いた国宝絵巻『一遍聖絵』。鎌倉時代後期の社会を活写した重要資料を、その全篇にわたって詞書に沿って構図に注目する。豊富なカラー図版で一遍の足取りを辿り、人びとの姿や動き、自然の移ろいに目をこらす。これまでの研究でいまだ明らかにされていなかった『一遍聖絵』の全体像と魅力に鮮やかに迫る注目の一冊。
内容説明
踊念仏で知られる一遍の生涯を描いた国宝『一遍聖絵』。全篇にわたって詞書に沿って構図に注目。豊富なカラー図版で一遍の足取りを辿り、これまでの研究でいまだ明らかにされていなかった絵巻の全体像と魅力に迫る。
目次
1 『一遍聖絵』の制作
2 遊行の旅路
3 踊念仏とともに
4 東海道の一遍
5 踊念仏の熱狂から農漁村へ
6 先達の古跡を追って
7 最期の旅
8 『聖絵』とその周辺
著者等紹介
五味文彦[ゴミフミヒコ]
1946年、山梨県に生まれる。1970年、東京大学大学院修士課程修了。神戸大学講師、お茶の水女子大学助教授、東京大学教授、放送大学教授等を経て、東京大学名誉教授、放送大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かんがく
12
教科書でおなじみの福岡の市や武士の館以外にも、善光寺、石清水八幡宮、厳島神社など様々な名称と、貴族、武士から遊女や乞食までたくさんの人々が生き生きと描かれていて眺めているだけで楽しい。背景にあるストーリーや、描かれた建物などにも細かな解説がある。龍が出てきたりと突飛な展開も多く、中世の宗教観を垣間見ることができた。2021/09/20
ATSU
3
オールカラーの絵が綺麗。著者は,絵にそって説明を書いている。しつこくなく,時々,元寇や霜月騒動といった時代背景をさらっと加えながら。でも,もう少し絵が大きかったらなあ,と思う。『一遍聖絵』といえば,高校の日本史の教科書の備前福岡の市場を思い浮かべるが,(正確には,山川日本史では,『一遍上人絵伝』)あれは,市場を描いた場面ではなく,本当は,妻が出家してしまったことに怒った夫が,一遍に切りかかろうとしていた場面だったのですね。(ちなみにこの夫も出家する。)一遍は,時代が生み出した人物だと私は思います。2021/09/20
Wataru Hoshii
3
2015年晩秋、国宝「一遍聖絵」全12巻の展示が行われ、私は会場となった遊行寺・神奈川県立歴史博物館・金沢文庫を巡った。そして、この絵巻物が中世日本の姿(しかも全国名所絵の趣もある)をリアルに描き出していることに強い感銘を受けた。絵巻物の研究者としても知られる五味氏によるこの著作は、この長大な絵巻物に描かれた内容を知るための丁寧なガイドブック。オールカラーの図版が嬉しいが、前後の絵のつながりが見たくなる所もあり、私は展覧会の時の図録を傍に置き、適宜参照しながら読み進んだ。まさに中世日本へのタイムトラベル。2021/08/12
kaz
2
カラー図版を眺めただけだが、当時の世相がわかって面白い。図書館の内容紹介は『踊念仏で知られる一遍の生涯を描き、鎌倉時代の世相を伝える国宝「一遍聖絵」。全篇にわたって詞書に沿って構図に注目。豊富なカラー図版で一遍の足取りを辿り、絵巻の全体像と魅力に迫る』。 2022/01/27
takao
2
ふむ2021/10/11