出版社内容情報
現代とは異なり、中世社会では、災害は日常的な光景であった。限られた技術しか持たない人びとは、どのように自然の猛威に立ち向かったのか。当時の気温や降水量・季節風などの最新の科学的分析と、古文書・古記録や文学作品などから、災害が社会に与えた影響や、人びとがさまざまな災害と闘う姿を描き出す。災害への関心が高まる今、必読の書。
内容説明
中世の人びとは、日常的に起こる災害にどのように立ち向かったのか。最新の科学的分析と古文書・古記録や文学作品から、自然の猛威が社会生活に与えた影響や人びとの対応を解明。災害への関心が高まる今、必読の書。
目次
第1章 中世の農業災害と気候変動(災害史研究の現在;農業災害とその背景 ほか)
第2章 旱害と中世の耕地・用水(降水量不足がもたらす問題;平安時代の旱魃と耕地 ほか)
第3章 水害と村落景観(水害の特質;平安時代の水害 ほか)
第4章 風害と砂丘・津湊(風への意識;古代・中世の風害 ほか)
第5章 虫害と自然認識(虫害の研究状況;古代の虫害と虫認識 ほか)
著者等紹介
水野章二[ミズノショウジ]
1954年愛知県に生まれる。1983年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、滋賀県立大学名誉教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bapaksejahtera
14
我が国中世の災害とその対応について述べた良書。気象学や生物学、農学等幅広い知見を基に、様々な資料と見易い図版を提示して説得的な論を展開する。公家日記や寺社記録が中心である為、都の自然災害風聞の他は間接的な情報からの推測に頼る外無く、歴史的に先進の畿内や中国・中部地方の分析が中心となるのはやむを得ない。宗教に頼る災害対策の他、自然や溜池への依拠から、氾濫域での輪中堤、環濠の発達等が判り易い。記述から国衙から荘園の形成、田堵の成立にも間接的に理解される。関東の農地発達の特殊性に触れた記述も僅か乍らあり嬉しい。2024/03/04
Go Extreme
2
中世の農業災害と気候変動:農業災害と背景 中世の気温と降水量 冷害の位置づけ 気温と農業災害 中世の災害観 中世の災害対応 宗教的対応 災害発生と領主 旱害と中世の耕地・用水:降水量不足がもたらすも台 祈雨儀礼の展開 中世荘園の成立と用水問題 水害と村落景観:水害の特性 水害と築堤 さまざまな洪水対策 開発と環境変化 宗教的対応 風害と砂丘・津湊:風への意識 古代・中世の風害 風害への対応 15世紀の風害と気候 砂丘の変化と土地利用 風と環境 虫害と自然認識:古代の虫害と虫認識 仏教と虫認識 人と虫と災害2021/02/27
黒とかげ
1
非常に興味深い一冊。学者の書だが文章が上手で読みやすい。自分の県で行われている祭りも起源は災害避けのものなんだろうな。2021/02/19
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