出版社内容情報
中世の畿内近国を中心に、山野河海をめぐる人と自然、人と人の関係を解明。里山が成立する過程やその特質を明らかにする。
内容説明
人々が生活のために、利用しながら作り出した里山。中世の畿内近国を中心に、山野河海をめぐる人と自然、人と人の関係を解明。里山が成立する過程やその特質を明らかにし、村落研究・環境史研究の可能性をひらく。
目次
序章 里山をめぐる視点
第1章 中世の後山
第2章 荘園制と里山空間
第3章 史料にみえる中世の里山
第4章 里山空間の実態と絵画史料
第5章 樹林の多面的機能
第6章 中世里山の資源管理
終章 中世の生活環境
著者等紹介
水野章二[ミズノショウジ]
1954年、愛知県に生まれる。1983年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、滋賀県立大学人間文化学部教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
34
田畑英雄の里山の定義:(生態学を基礎とした)里山林だけでなく隣接する中山間地の水田、ため池、用水路、茅場を含めた景観(2頁)。1759年において里山の初見として、村里近き山をさして里山と申候としている(『日本林制史資料名古屋藩』8頁)。棚田が美しいのは、生きるために積み重ねた、過酷な労働を刻みつけた景観(11頁)。鳥獣被害は資料にもある。『万葉集』和歌、「信貴山縁起絵巻」「一遍上人絵伝」、鳥獣を音で追う「引板」「鳴子」、猪・鹿などの進入を防ぐ木柵が描写(89頁)。2016/04/26
アメヲトコ
3
日本の里山を、自然との共生の場として美化するのではなく、破壊と紛争のなかでどのように環境が形成されてきたのかを歴史的に分析した本。「持続可能性」を、現代の状況を遡及させて考えることの危うさを教えてくれる、示唆に富む内容です。2015/11/10