内容説明
敵軍の士気低下をはかり投降を促すべく、制作し撒布された戦時宣伝ビラ。連合国軍が撒いた対日宣伝ビラは、戦時メディアとしていかなる効果を発揮したのか。対日心理戦の実像に迫り、戦時プロパガンダを読み解く。
目次
序章 戦時宣伝ビラというマス・メディア
第1章 戦時情報局による対日宣伝ビラ制作の始まり
第2章 極東連絡局による対日宣伝ビラ
第3章 英国によるインド・ビルマ戦域の対日宣伝
第4章 インド・ビルマ・中国戦域における対日宣伝ビラ
第5章 西南太平洋戦域の対日宣伝ビラ―オーストラリアからフィリピンへ
第6章 中央太平洋戦域におけるビラ作成―ホノルルとサイパン
第7章 沖縄戦における対日宣伝ビラ
終章 ビラの影響調査と心理戦の戦後
著者等紹介
土屋礼子[ツチヤレイコ]
1958年長野県に生まれる。2001年一橋大学大学院博士課程修了、博士(社会学)。現在、早稲田大学政治経済学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ことぶき あきら
2
連合国が対日宣伝について、文民部門の戦時情報局と軍司令部心理戦部の住み分けと協力といった組織体制、宣伝ビラの内容、そしてその効果についてどのように思考錯誤しより効果的な宣伝ビラを制作していったかがまとめられています。「対日宣伝ビラの内容は総じて、事実に基づく情報を、教え諭す態度で与えるという方針で作成された。軍事作戦の一環としてのビラは、戦争の終結とともに役割を終えるが、その方針は戦後日本に対する占領政策にも受け継がれた。」ビラの図も多く出てきます。時計を模した「時は迫れり!!」は教科書にも載ってますね。2013/12/15
カステイラ
1
ビラ作りの担当をどこにするかということでもゴダゴダがあったあたり、この戦争の巨大さが垣間見える。興味深かったのは日本兵に新聞形式のビラが受けており終戦後も作成され続けていたこと。新聞文化が日本人によく浸透していたことの表れと感じる2018/03/16
陽香
1
201112102017/04/22
cipher
0
どうすれば読み手に伝わるかを熱心に考えてるビラってマスメディアとしてすごく真摯と言えるのでは。だからこそ手にとりたくなってしまったのかもしれない。宣伝ビラについてはよく分かったものの、情報源の違いによる信頼のされ方の違いってのがもう少し詳しいと嬉しかった。そのへんと、実際にビラを手に投降した人のエピソードなんてのも知りたいし、関連書籍をちょっと調べてみた方がいいのかな。ご存じのかたはぜひ2015/02/09
かど
0
「対日宣伝ビラ」…、「対米宣伝ビラ」とともに、これらたくさんの記憶を劣化しないうちにきちんとデジタル化して保存しなければ。戦後70年、残された時間はあまり多くないかと。2014/05/04
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