内容説明
幕末前夜、高野長英や渡辺崋山らが弾圧された「蛮社の獄」。しかし、幕府の目付鳥居耀蔵は、崋山とは無関係な無人島渡海事件を重視するなど、多くの謎が存在する。奉行所での取り調べにも注目し、事件の真相に迫る。
目次
研究史の回顧と問題の所在
蛮社の獄の背景
林家と蛮社の獄
鳥居耀蔵
渡辺崋山
田原藩の助郷と海防
渡辺崋山と江川英竜
高野長英
小関三英
モリソン号事件
江戸湾巡視
尚歯会と蛮社
『戊戌夢物語』と『慎機論』
無人島
鳥居耀蔵の告発
一斉捕縛と取調べ
判決とその周辺
蛮社の獄をめぐって
著者等紹介
田中弘之[タナカヒロユキ]
1937年東京に生まれる。1964年駒澤大学文学部歴史学科卒業。元駒澤大学図書館副館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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wuhujiang
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蛮社の獄とは、渡辺崋山や高野長英ら洋学を主とする「開明派」の弾圧が目的でなく、「幕府による緩み始めた鎖国体制の引き締め」をするために、水野忠邦/鳥居耀蔵が無関係な無人島渡航計画の首謀者として渡辺崋山を標的にしたという主張。個人的には大筋は納得した。よく知らなかったので。個人的に気になったのは「海防」「開国」を正反対ととらえ、開国は先見性があり海防に拘るのは劣っているという点。海防も最新知識がいるという点で開明的であろう。また、鳥居が最初から崋山を標的に選んだ理由ももう少し欲しいなと思った。2020/09/13