内容説明
女子学習院での教育、人力車の送り迎え、別荘での避暑、お国入り、華麗な縁戚、家存続のための婚姻、関東大震災、二・二六事件、戦争…。四人の女性が在りし日の華族の生活を語る。追憶の中から激動の時代が浮かび上がる。
目次
1 華族に生まれて
2 華族令嬢としての教育
3 思い出の風景
4 結婚の季節
5 戦火をこえて
6 華族の戦後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜の女王
30
京極典子、寺島(旧姓・細川)雅子、勝田(原田)美智子、上杉(徳川)敏子、4人の元華族令嬢たちのインタヴュー集。敏子氏については、姉妹の書いた『春は昔』『花葵』と重なる部分が多い。他の華族令嬢との交流も少なく、やはり徳川宗家は特別だったのだろう。他3名の話す様子はまるで女学生(笑)。ただ皆様言葉遣いが丁寧で、それが気取った風もなく自然。さすがに育ちが違う。子供のころからの躾の大事さを感じるが、まず親が躾けられてないので庶民では見習いようがない(笑)。戦後はしがらみから解放されてホッとしたというのは本音だろう2019/01/30
Wisteria
18
旧華族の女性四人の少女時代から戦後までが対談で語られている。この方々にとっては華族の暮らしは当たり前の事で高飛車な特権意識もない。今はもう失われた世界についてとても素直にお話されていて良かった。桁違いのお嬢様でありながら生き生きと過ごされた学習院時代の話が眩しい。2016/06/25
わんつーろっく
14
大正に生まれた四人の元華族令嬢が幼少から女学生時代、結婚、戦争を経て、30代で華族令の廃止を経験するまでを座談会で語ったオーラルヒストリー。人力車で幼稚園に送り迎えされ、どこへ出ても恥ずかしくないように、数々のお稽古ごとに明け暮れ、いいところへお嫁に行くことが最終目的のような人生。戦中戦後のご苦労や戸惑いもあるが、皇室の藩屏という意識より、これからもご先祖様を大事にしなくてはならないと締めくくる。映像でしか知らなかった時代の生の声が貴重だ。2018/09/22
Noelle
12
大正から昭和にかけて 近代史に名の上がる家系に育ったお嬢様たちの少女期から結婚後までの暮らしぶりが活き活きと語られています。どんな社会であっても、完結した社会の中での暮らしぶりはご本人たちにとっては普通で、戦中戦後の苦労はあっただろうけれど、きっと楽しいエピソードもたくさん思い出として持っていらっしゃる「大正・昭和のお嬢様たち」の 日本女性のお手本のような育ち方、素敵ですね。何と言っても、4人の言葉のやり取りが本当に愛らしい少女期のそのままのようで その場のふうわりした空気感が伝わってくるようでした。2013/10/25
城 マリカ
12
日本史に名を刻んだ徳川や細川や上杉を先祖にもつ、四人の華族令嬢たちへのインタビューを面白くまとめた書籍。座談会形式になっているので堅苦しくなく、大正から昭和(戦時中や戦後も含めて)を生きた華族令嬢の、縛りの多い箱入り生活や伝統的なしきたり、厳しい躾、縁談話など、羨ましいお嬢様という立場に生まれついた方々にも常人には想像及ばぬ苦労があったと知りました。楽しそうな四人の会話には少女のような天真爛漫さがあり、時おり互いを揶揄する場面でさえ気品のある言葉遣いを崩さない。ますますお嬢様に憧れが募りました。2013/08/17