内容説明
藤原頼通により現世と極楽浄土を結ぶ空間として建立された平等院鳳凰堂。これまで個別に論じられてきた鳳凰堂の建築・仏像・絵画・庭園などを総合的に捉え直し、平安仏教の豊かな世界観と人々の祈りの姿を読み解く。
目次
鳳凰堂をめぐる五つの謎―プロローグ
1 鳳凰堂の建築美
2 鳳凰堂の内なる世界
3 現世と浄土をつなぐ景観
4 鳳凰堂と阿弥陀来迎
5 鳳凰堂本尊と阿弥陀法
6 阿弥陀堂と九品曼荼羅
7 阿弥陀曼荼羅としての鳳凰堂
新しい造形論にむけて―エピローグ
著者等紹介
冨島義幸[トミシマヨシユキ]
1966年愛知県生まれ。1998年京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士後期課程修了。現在、滋賀県立大学環境科学部准教授、博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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umeko
8
平等院鳳凰堂をめぐる五つの謎を解き明かすわけだが、明快で、素人ながら興味深く読めた。筆者も平安仏教を論じるうえで重要な問題提起と述べていたが、他の仏教建築や美術などはどうなのかと考えてしまう。2015/05/27
アメヲトコ
2
現世の極楽浄土として一般に知られる平等院鳳凰堂に隠されたいくつもの謎を、学問分野の枠にとらわれない視点から解き明かす知的刺激にあふれた一冊です。一部に大胆な推論を含むものの、密教の立体曼荼羅として鳳凰堂を捉え直し、これまでの「浄土教中心史観」を乗り越えようとする野心的な試みはとても魅力的。2014/06/26
飯田一史
1
平安仏教は空海以降の密教から源信たちの浄土教になった史観の象徴とされてきた平等院が実は密教の影響受けまくりと立論した本。めちゃんこおもしろい。2017/05/08