内容説明
日本を代表する美術の浮世絵も、江戸時代には流行に左右される通俗的絵画だった。浮世絵が生み出された背景や、流通の在り方、盛り場や歌舞伎との関連から、大量生産・消費された、商品としての浮世絵の実態を描く。
目次
プロローグ 浮世絵の宿命
1 錦絵の制作と販売
2 名所絵の流通
3 忠臣蔵物の錦絵と泉岳寺
4 幕末の錦絵出版―「これが江戸 錦絵合」から
5 錦絵出版の背景事情―三代豊国晩年の書簡に見る
6 盛り場から生まれる肉筆浮世絵―国立歴史民俗博物館所蔵「浅草風俗図巻」から
著者等紹介
大久保純一[オオクボジュンイチ]
1959年、徳島県に生まれる。1982年、東京大学文学部美術史学科卒業。1985年、同大学大学院博士課程中退。名古屋大学文学部・東京国立博物館・跡見学園女子大学を経て、現在、国立歴史民俗博物館研究部教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アメヲトコ
3
浮世絵の商品としての側面に着目した論集。短期的に売るものと長期的に売るものの違い、単品販売とセット販売、スポンサーの存在、ショーとしての即興肉筆浮世絵など、さまざまな戦略が面白いです。美術史も様式だけを追いかけるのではなく社会背景にも目を向けよという主張には大いに賛同します。2015/07/02
よっちゃん
0
とても興味深い内容でした。浮世絵は、現在は美術品として高い価値がありますが、当時は消費されるものであったと改めて考えさせられました。出版の面からの浮世絵研究を読んだのは初めてだったし、女性浮世絵師の存在も初めて知ったので、とても勉強になったし楽しく読めました。2013/11/11