内容説明
明治は、わが国伝統の板目木版、西欧の革新的な銅版・石版など、史上稀に見る多種多様な“版”の時代であった。双方はどう関係を切り結んできたのか。その変遷を豊富な図版でたどり、明治版画の実態を解き明かす。
目次
プロローグ 近代版画の起点をもとめて
1 明治前期の版画―明治元年~十五年(前期版画の概観;江戸錦絵から明治錦絵へ;新聞挿絵の印刷―木版と紙版鉛版;石版画の時代―その移植と展開;銅版画の幕末から明治―微塵銅版画から官の印刷へ;前期の出版動向―和装本から洋装本へ)
2 明治中期の版画―明治十六年~三十年(中期版画の概観;錦絵と石版画;伝統木版の盛衰―衰退期の錦絵と『国華』式木版の出現;木口木版の導入)
3 明治後期の版画―明治三十一年~四十五年(後期版画の概観;木版口絵の隆盛;創作版画黎明期;ニューメディアとしての版画;日本版画の欧米への発信―青い眼の浮世絵師たち;出版と版画)
エピローグ 大正版画に向けて―印刷の版画から創作の版画へ