内容説明
九世紀、高丘親王は薬子の変により皇太子の地位を失い、出家して唐に渡る。仏法の真理を求め、天竺を目指したがその途上で倒れたとされる。透徹した史眼で高丘(真如)親王伝を読み直し、波乱の生涯の実像に迫る。
目次
高丘親王から真如親王へ
超昇寺の創建と真如親王
再度の大仏開眼と真如親王
入唐求法に向けて
真如親王の入唐求法
伝説と史実との狭間
著者等紹介
佐伯有清[サエキアリキヨ]
1925年東京生れ。法政大学第二高等学校校長・北海道大学文学部教授・成城大学文芸学部教授を歴任。この間、東京大学文学部講師・北海道大学文学部附属北方文化研究施設研究員等兼任。日本学士院賞受賞。文学博士
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感想・レビュー
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月をみるもの
8
薬子の変の後に、「太政天皇」から「上皇」へと呼び名が変わったのか。。田村麻呂の迅速な対応がなく、一歩間違えれば壬申の乱並の内乱になってたのかもしれないんだな。。。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E4%B8%8A%E5%A4%A9%E7%9A%872018/10/06
梟をめぐる読書
7
『高丘親王航海記』の副読本として読了。てっきり澁澤の創作かとばかり思っていた美少年・秋丸が本当に親王に随行していた(但し円覚らと同じ仏僧であり、作中のような妖気を放つ美少年であったかは不明)と知って驚く。創作と評伝、ということでジャンルこそ違えど、入唐以後を主に扱う澁澤の『航海記』と入唐までを主に扱うこの『入唐記』で、親王の物語を相補うようになっているのが面白い。2011/11/27
源義
0
澁澤龍彦『高丘親王航海記』から調子に乗って再読。再読と言っても20年前に読んだ時の記憶はほぼなかった。それもそのはず、本書は澁澤『航海記 』をリスペクトしながらも、あくまで歴史学的に高丘親王の業績を追い、杉山直治郎『真如親王伝研究』を批判的に発展継承することを目的としている。大仏再建、入唐と綿密な考証の元、関連情報を織り交ぜながら論述している。それが苦しくて、20年前の自分はササッと読み飛ばしたのだろう。それから20年、本書は自分にはまだまだ難しかった…。2024/03/20
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