内容説明
室町時代、二代将軍の弟に始まり、鎌倉府の主として東国を治めた関東公方足利氏。将軍の身辺でささやかれた関東謀反のうわさは、いつから真実となっていったのか。幕府に抵抗し続けた誇り高き一族の一〇〇年を見つめる。
目次
序章 足利義詮
第1章 足利基氏
第2章 足利氏満
第3章 足利満兼
第4章 足利持氏
終章 足利成氏
著者等紹介
田辺久子[タナベヒサコ]
1939年、新潟県に生まれる。1962年、東京女子大学文理学部史学科卒業。青山学院大学、東京大学史料編纂所、横浜国立大学、東京女子大学非常勤講師を歴任
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感想・レビュー
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さとまる
2
歴代鎌倉府公方のうち、鎌倉に拠点を置いて関八州を治めた基氏から持氏に至る4代の概観。基氏時代は軌を一にしていた幕府と鎌倉府が氏満の頃から不協和音を発し、持氏の代にいたって永享の乱という形でぶつかることとな軌跡が書かれている。だが、内容的には少々古く今では否定的な見方をされる部分も多い。2020/04/10
プリン
2
実家の本棚を少し整理しようかと思いきや、ふと本書を手にしてしまい、読みふけってしまいました。結局、その後はまったく整理せず(^^ゞ それはさておき、一般には「鎌倉公方」として知られる足利基氏からの四代(成氏もふくめれば五代)の概説書。さまざまな史料を駆使して、鎌倉公方の事跡に迫ります。非常に実証主義的で、これぞ歴史学という感じの著作。幕府との対抗と関東管領との相克など、興味深く読みました。それにしても、足利氏の人々は皆短命です…。2014/08/14
吃逆堂
2
中世後期東国史の数少ない一般書のひとつ。が、話は煩瑣、散漫で、引くべき研究成果も引いておらず、事実誤認もあり、一般書としての役割を果たしていないといわざるを得ない。東国史には、膨大な先行研究を集約し、時代の像を大きく描いた一般書が必要である。2009/08/05