出版社内容情報
中世武士たちは、自ら支配する都市にさまざまな掟を作って出した。なかでも「道」にまつわるものが多かったのはなぜなのか。道路掃除の掟からは、支配者たちの道路へのこだわりと、目指した都市のすがたが見えてくる。
内容説明
中世武士たちは、自ら支配する都市にさまざまな掟を作って出した。なかでも「道」にまつわるものが多かったのはなぜなのか。道路掃除の掟からは、支配者たちの道路へのこだわりと、目指した都市のすがたが見えてくる。
目次
第1章 “武士の都市”鎌倉の掟(鎌倉幕府の法;しつこく出された道の掟;犯罪の取り締まり;庶民の娯楽はどこまで許されるか;武士は武士、坊さんは坊さんらしく)
第2章 御家人・戦国大名の掟(豊後大友氏と『新御成敗状』;下野宇都宮氏と『式条』;下総結城氏と『新法度』)
第3章 道路掃除の掟(道路へのこだわり;道路掃除はだれがするのか;聖なる空間;巨大な道路は権力の象徴)
著者等紹介
高橋慎一朗[タカハシシンイチロウ]
1964年神奈川県に生まれる。現在、東京大学史料編纂所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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六点
90
鎌倉幕府や地方御家人、少し時代が下がって戦国大名の分国法まで。数々の成文法にはやたらと道に関する条文が多く見られる。最近読んだトルクメニスタンの本でも、権力を荘厳するための道路や建築物が多く見られた。東西を問わず、同様の発想をするのであるなあと感じ行った次第であった事だよ。2024/07/17
Toska
23
日本の中世都市は概して史料に乏しく研究者泣かせだが、為政者が発した法や掟は情報源として有望なのだそうだ。当時の為政者すなわち武士であり、彼らが都市を維持発展させようとした苦闘の痕跡は法の中にとどめられている。道路など都市インフラの整備を政権が自ら行うのではなく、地元の住民に負担させるという原則がいかにも中世的。現代とは比べ物にならない「小さな政府」であった。2025/04/15
Go Extreme
1
武士の都市・鎌倉の掟: 鎌倉幕府の法ー御成敗式目と追加法 しつこく出された道の掟ー自警団結成 犯罪の取り締まりー犯罪都市鎌倉 庶民の娯楽はどこまで許されるかーばくち禁止 武士は武士・坊さんは坊さんらしくー乗り物のルール 御家人・戦国大名の掟: 豊後大友氏と新御成敗状ー京・鎌倉がお手本 下野宇都宮氏と式条ー宇都宮明神のお膝元 下総結城氏と新法度ー戦国大名の本音 道路掃除の掟: 道路へのこだわりー道のある日常 道路掃除ー人間を捨ててはいけない 聖なる空間ー病気が発生する場所 巨大な道路=権力の象徴ー見た目重視2024/07/07