出版社内容情報
家格や身分にしばられ、滅私奉公が貫徹されていたとする通俗化された近世の武士社会のイメージを再考。彼らの思想と行動の原点といえる日々の生活を日記から具体的に描き出し、個性あふれる新たな武士像に迫る。
内容説明
家格や身分にしばられ、滅私奉公が貫徹されていたとする通俗化された近世の武士社会のイメージを再考。彼らの思想と行動の原点といえる日々の生活を日記から具体的に描き出し、個性あふれる新たな武士像に迫る。
目次
第1章 中世から近世へ(兵農分離社会が誕生したとき;近世人の自国意識)
第2章 武士の生活を考える(日記から読む武士の素顔;三浦氏と石橋氏―上級武士と下級武士;家老と武士の一日;武士が病気にかかったとき;結婚・子育て;鷹狩から花見まで―武士たちの余暇;家臣の作法)
第3章 武士の精神をとらえなおす(武士社会の道理;出奔・仇討ち・立身出世―多様な生き方;家臣としての理想像;『葉隠』を読み直す;武士の虚像と実像)
おわりに 武士社会の活力が失われたとき
補論 二条城在番衆の出張死
著者等紹介
柴田純[シバタジュン]
1947年愛知県に生まれる。1981年京都大学大学院博士課程国史学専攻単位取得満期退学。元京都女子大学教授、京都大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
50
中世までと異なり、武士が武士としての信念を持つようになったのが江戸時代なのですね。主君や体制への服従ではなく、国や民衆のための精神を持ったのも同時代。武士のあり方を改めて見たような気がします。2025/04/23
wuhujiang
1
結論としては、中世までとは異なり武士が為政者としての自覚を持つようになったのが江戸時代であり、主君や体制への絶対服従ではなく国や民衆のためには諫言も辞さない精神を獲得したといったところか。タイトル以上に内容は難しく、史料の現代語訳もないのでやや読みにくい。葉隠の批判は思ったよりも小さい扱いだが、常朝の勤務が主君の御側付きであって為政者として自覚がなく、かつ仏教的無常観に囚われた内容として厳しく批判しているところがよかった。2024/10/06