内容説明
西行思想の中核であり、中世思想史のキー・ワードでもある数奇と無常。名著『西行の思想史的研究』以後究明した西行の諸問題と、その前後数百年間に生きた人びとへの展望によって、このテーマを豊かにわかりやすく描き出す。
目次
第1部 西行点描(北面佐藤義清とその遁世;西行における地方と庶民;西行と「越のなか山」;西行の詠わなかったもの;神宮と西行―「なにごとのおはしますをば」歌の背景;西行の虚実)
第2 数奇と無常(遁世における数奇と無常;美意識における無常;末代末法と浄土信仰;王朝の雪)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
49
再読(3回目か)了。読み返して良かった。『数奇と無常』の帯には、「西行思想の中核であり、中世思想史のキーワードでもある数寄と無常。名著『西行の思想史的研究』以後究明した西行の諸問題と、その前後数百年間に生きた人々への展望によって、このテーマを豊かにわかりやすく描き出す。無常を知るゆえに花や月の美しさに感動した彼らの生は、現代人の思想や感情に、忘れかけたものの回復を訴えてやまない。」と。2025/04/18
やいっち
6
再読(3回目か)了。読み返して良かった。『数奇と無常』の帯には、「西行思想の中核であり、中世思想史のキーワードでもある数寄と無常。名著『西行の思想史的研究』以後究明した西行の諸問題と、その前後数百年間に生きた人々への展望によって、このテーマを豊かにわかりやすく描き出す。無常を知るゆえに花や月の美しさに感動した彼らの生は、現代人の思想や感情に、忘れかけたものの回復を訴えてやまない。」と。2025/04/18
Solidarity
0
“三 末代・末法と浄土信仰”は仏教的無常観について何ら知識を持ち合わせていない私には読むのに骨が折れたが、 著者がまとめとして描いていた 「大雑把にいえば、西行・長明は優雅な遁世生活を満喫しつつも、無常の責苦を感覚的・情緒的に痛感し、その数寄心と道心との切実な矛盾を文学的エネルギーとした。これに対して、兼好において無常はすでに冷徹な諦観となり、その倫理的安定の上に数寄の生活を思うさま展開したようである。」と言う点は筋を追うことができた。2025/06/17
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「大雑把にいえば、西行・長明は優雅な遁世生活を満喫しつつも、無常の責苦を感覚的・情緒的に痛感し、その数寄心と道心との切実な矛盾を文学的エネルギーとした。これに対して、兼好において無常はすでに冷徹な諦観となり、その倫理的安定の上に数寄の生活を思うさま展開したようである。」2025/06/17
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“三 末代・末法と浄土信仰”は仏教的無常観について何ら知識を持ち合わせていない私には読むのに骨が折れたが、 著者がまとめとして描いていた 「大雑把にいえば、西行・長明は優雅な遁世生活を満喫しつつも、無常の責苦を感覚的・情緒的に痛感し、その数寄心と道心との切実な矛盾を文学的エネルギーとした。これに対して、兼好において無常はすでに冷徹な諦観となり、その倫理的安定の上に数寄の生活を思うさま展開したようである。」と言う点は筋を追うことができた。2025/06/17