出版社内容情報
大日本国帝国憲法下の天皇制は、立憲君主として臣下の補弼により統治を総覧するとされた。だが実際は天皇自身も政策に介入することがあり、内閣・軍部も天皇を利用した。史料を深く読み込み、天皇三代の実態に迫る。
内容説明
大日本国帝国憲法下の天皇制は、立憲君主として臣下の補弼により統治を総覧するとされた。だが実際は天皇自身も政策に介入することがあり、内閣・軍部も天皇を利用した。史料を深く読み込み、天皇三代の実態に迫る。
目次
1章 近代天皇の創出(王政復古クーデタと「幼冲の天子」;天皇親政の実質;明治天皇の「自立」)
2章 憲法体制下の明治天皇―立憲君主の親政(内閣と天皇;初期議会期の天皇;日清戦争後における天皇の親政)
3章 大正天皇と政党内閣制(大正天皇践祚にともなう政治変動;天皇の病状公表と政党内閣;政党内閣制の実態)
4章 昭和天皇の即位と“転向”―親政君主の再登場と「立憲君主」化(昭和天皇と政党内閣;天皇と軍部の確執;昭和天皇における天皇像の転換)
著者等紹介
安田浩[ヤスダヒロシ]
1947年東京都生まれ。1977年東京教育大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。埼玉大学教養学部教授、千葉大学文学部教授を歴任。2011年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
4
強い権力を憲法で保障された帝王も、その能力や権威がなくては認められない。日本史上初めてそうした権能を帝国憲法により認められた明治、大正、昭和の三天皇の意志と行動の分析を通して見えてきたのは、主権者とされながら「機関」化して行動を制限された天皇と、天皇を「輔弼」しながら臣下と自己規定する政府・官僚機構による無責任な「君臣もたれあい」の大日本帝国の権力構造だ。明治天皇や元勲などがいれば何とか動いたが、いなくなれば自分勝手に動き出して破綻する。終戦は専制君主たる天皇による最初で最後の大権行使であったと痛感する。2019/07/13