出版社内容情報
天皇や貴族、大寺社、武士など権門の集積地であり、政治・経済・文化・情報の結節点として中世最大の都市であり続けた首都京都。「巨大都市複合体」の成立・拡大から近世都市への昇華まで、考古学の成果から通観する。
内容説明
天皇や貴族、大寺社、武士など権門の集積地であり、政治・経済・文化・情報の結節点として中世最大の都市であり続けた首都京都。「巨大都市複合体」の成立・拡大から近世都市への昇華まで、考古学の成果から通観する。
目次
首都「京都」の誕生 プロローグ
1 「前期平安京」から「中期平安京」へ
2 院政期の京都
3 京・鎌倉時代の京都の都市構造
4 南北朝動乱から室町政権へ
5 戦国時代の京都
近世都市への昇華 エピローグ
著者等紹介
山田邦和[ヤマダクニカズ]
1959年京都市に生まれる。1997年博士(文化史学)。(財)古代学協会研究員(平安博物館助手、古代学研究所助手)、京都文化博物館学芸員、花園大学文学部教授などを経て、同志社女子大学現代社会学部教授、(公財)古代学協会理事・研究部長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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南北
48
「京・鎌倉時代」から豊臣秀吉の時代までの京都について考古学の観点から首都である京都について通観していこうしている。地図や図版も多くわかりやすい記述になっていて、日本の中でも特筆した都市としての京都の様子を見ることができる。特に興味深く感じたのは幕府を規定する条件を提示している点だ。軍事政権で、自立性があり、「政権」にふさわしい行政機構を持ち、武士の頭領に相応しい官職を有する以外に天皇や朝廷さらには京都の軍事的守護者であるとしている。この条件で見ると従来幕府と呼ばれなかった政権も「幕府」と言えることになる。2024/02/28
MUNEKAZ
16
中世期の京都を考古学の視点で紹介するという、まさにこのシリーズならではという一冊。個人的には平安京の町割が「ロ」の字型という説明が、これまで今一つピンときていなかったのだが(真ん中がら空きじゃんという)、その辺を当時の土地売券や発掘成果から説明しているのは興味深かった。また嵯峨や鳥羽、北山など都に付随する衛星都市も併せて紹介することで、中世世界でも屈指のメガシティ京都のスケール感が伝わるのも面白い。権門体制論に拠った幕府論、「京・鎌倉時代」の提唱なども読みどころか。2023/01/17
アメヲトコ
10
2023年1月刊。京都の中世史シリーズの最終巻にあたる本書はこれまでの巻とは趣を変えて、平安時代から秀吉の時代までの都市京都の変遷を、考古学の立場から明らかにするものです。最新の成果にもとづく自作の図版が豊富で、ふつう発掘成果の図は一般読者には読み取りが難しいものなのですが、本書では重ね地図の手法を使って実際の空間をイメージしやすくする工夫が凝らされていて分かり易いです。叙述の端々には著者の京都愛がにじみ出ており、七条に「ひちじょう」とルビを振ってあるあたりにもニヤリ。2023/01/17
イツシノコヲリ
7
京都の中世史最終巻で、「巨大都市複合体」である中世都市京都の構造を考古学の成果から明らかにする。筆者は新たに京・鎌倉時代と提唱し、世界的に見ても大都市である中世京都の重要性を指摘する。また幕府の定義を京都の朝廷を守護することに重点を置いている。室町殿・東山殿などの各時代の邸宅、町割だけではなく、墓地や仏堂、酒屋などの産業にも触れられていて、中世都市京都をバランスよく解説している。ただし里内裏の変遷については、かなり簡潔に書かれているので分かりにくく、桃崎氏の著書の方がよくまとめられていると感じた。2022/12/29
onepei
3
この時代(シリーズ)のまとめとして「京都のすがた」の変遷を語る。町割りの変化など興味深い2023/02/09
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