出版社内容情報
16世紀後半、関東では武田・上杉・北条らの領土紛争が激化、奥羽では伊達の勢力が急拡大する。戦乱の中で進化する築城技術や経済活動、領国支配の構造などを描き、織豊政権の介入で統合へ向かう東日本の姿を追う。
内容説明
十六世紀後半、関東では武田・上杉・北条らの領土紛争が激化、奥羽では伊達の勢力が急拡大する。戦乱の中で進化する築城技術や経済活動、領国支配の構造などを描き、織豊政権の介入で統合へ向かう東日本の姿を追う。
目次
統合へ向かう東日本―プロローグ
1 三国同盟の崩壊と領土紛争の激化
2 群雄割拠の北関東・奥羽
3 領国支配の進展
4 十六世紀後半の東日本社会
5 迫り来る織田信長
6 豊臣政権の成立と東日本
7 秀吉による東日本統合へ
「天下統一」と東日本―エピローグ
著者等紹介
竹井英文[タケイヒデフミ]
1982年、東京都に生まれる。2011年、一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。現在、東北学院大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
15
越相同盟の成立から秀吉の奥州仕置まで、戦国最末期の東国の通史。北条・上杉・武田というお馴染みの三国志にとどまらず、佐竹氏や伊達氏が代表する北関東や南奥州の情勢も同程度に扱われているのが印象的。エッジの立った部分は少ないが、有力大名の同盟や抗争を通して北関東・南奥州・越後の地域的なまとまりを感じさせる描写は面白い。また織田政権によってほんの一瞬だけ実現した東国の「惣無事」という秩序が、その後の秀吉や家康の取り組む「天下統一」の方向を規定したとするのも興味深かった。2020/10/01
さとまる
10
この巻では甲相駿三国同盟が崩壊し越相同盟が成立する時代から秀吉による小田原合戦~奥羽再仕置までの東日本の政治情勢を取り扱う。著者もエピローグで書いているとおり、北関東と南奥羽の関連性が思ったよりも強く、思った以上に一体的に動いていることは初めて知ったかもしれない。それでいて近しい地域でも積極的な交流がなかったり、現在の行政区的な地割ではない地域的視点から捉えるとさらに興味深くなるかもしれない。2025/02/09
フランソワーズ
5
関東は武田・上杉・北条。奥羽はドングリの背比べ的な群雄割拠。それらが遠近問わずに影響して、統合に進むなか、織豊政権が津波の如く押し寄せてくる。その流れに、大名・国衆がそれぞれ決断を下す。正解か不正解かは、運もかなり左右する。そこには最早、民衆の姿は見えず、勢力拡大と御家存続を目指す諸氏の焦りのようなものが窺える。2024/12/21
吃逆堂
5
東国史といえばこれまで関東中心になりがちだったけど、本書は北奥羽まで詳述して全体の流れに位置づけており、まさしく「東日本」の戦国史を描いている。また、筆者ならではの惣無事令論ではない惣無事の位置づけも、説得的。2021/04/25
Toska
3
関東名物「古河公方家の内紛に連動する合従連衡」がすっかり影を潜めている辺り、時代は変わったのだと実感。東国の戦国大名たちは、畿内とはまた違ったやり方で室町的秩序を克服したということなのだろう。それでも、上方の統一政権が本気で攻めてくると全く歯が立たなかったわけなのだが…禁制がほとんど発行されない、中人体制による和平の実現など、関東とはまた異なる伝統を持つ奥羽の戦国史も興味深い。2022/02/05