出版社内容情報
16世紀後半、西日本では大内氏を倒し台頭した毛利氏をはじめ、尼子や大友、島津などの地域勢力が熾烈な領土争いを繰り広げた。海外交易の実態、流通・経済の発展など社会状況も概観し、西国大名の覇権争いを描く。
内容説明
十六世紀後半、西日本では大内氏を倒し台頭した毛利氏をはじめ、尼子や大友、島津などの地域勢力が熾烈な領土争いを繰り広げた。海外交易の実態、流通・経済の発展など社会状況も概観し、西国大名の覇権争いを描く。
目次
厳島合戦前夜の西日本―プロローグ
1 地域覇権争いの新局面
2 地域社会の変容と文化
3 東シナ海地域の変動
4 毛利氏と尼子・大友氏の死闘
5 戦国大名の領国支配
6 織田権力との出会い
本能寺の変後の西日本―エピローグ
著者等紹介
池享[イケススム]
1950年、新潟県に生まれる。1980年、一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。現在、一橋大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
16
厳島合戦のころから織豊権力の直接進出直前まで、西日本を舞台として安芸の毛利氏を主軸に、出雲の尼子氏、周防の大内氏、豊後の大友氏、肥前の龍造寺氏、薩摩の島津氏、伊予の河野氏、土佐の長宗我部氏、一条氏などがどう毛利氏と関係・対立・協力していったのか。これら戦国大名たちの政治史を中心に詳述している。56頁。博多は、大内氏の滅亡にともない対明朝貢貿易が終焉し、大友氏に対する秋月氏の反乱や、竜造寺隆信の侵攻により、町が灰燼に期すなかで衰退し、倭寇やポルトガル勢力が拠点とした肥前平戸や長崎に貿易拠点の地位を奪われた。2024/05/08
翠埜もぐら
14
とにかく大内・尼子・陶に振り回されて手伝い戦に駆り出され続けた毛利と言う印象が強かったのですが、大内亡き後、毛利が粘り強くしたたかにそして非情に領国の拡大をしたプロセスが解かり易かったです。延々と戦の概略を続けるだけでなく、二・三・五章で農民の変貌、東シナ海地域の変動、戦国初期からの領国支配の変遷など、戦の勝敗の裏にある経済的な要因の解説もあって理解に助かりました。さらっと流されていましたが、毛利としては「主家とほぼ同等の力を持つ重臣」井上家を滅ぼしたのが中国勢の中で台頭する第一歩だったのだろうなぁ。2025/01/27
MUNEKAZ
14
毛利氏を中心に、戦国時代後半の西国をまとめた一冊。ポスト大内氏をかけた毛利、尼子そして大友の仁義なき争いがメインであり、関東戦国史にも負けない熾烈な争いが描かれている。とくに毛利・大友の筑前博多を巡る戦いは、正面対決あり搦め手の謀略ありの大盤振る舞いで、なかなかスリリング。もう少し注目をされても良い激戦なのではと思う(というか全盛期の大友宗麟はキレキレで強い)。またどの勢力も海賊衆を味方につけることに注力しており、海を通した繋がりの多さも西国らしいところだと思う。2020/09/09
フランソワーズ
7
シリーズ3の続きとして読んだ本書。”大大内”を滅ぼし、領国を継承した毛利氏。一国衆から、西国随一の版図を得たその急成長は手放しで喜べない。尼子・大友氏との狭間で苦闘を続けながらも、瓦解せずに生き残れたのは賞賛に値する。その毛利氏に直接・間接的につながる西国の諸大名のさらなる成長と淘汰を追いながら、いよいよ織豊政権の大波が襲ってくるところまでを記述している。2024/12/17
竜玄葉潤
3
月山富田城に行きたくて読み始めたが、尼子、大友だけでなく、豊臣以前の中国、四国、九州を網羅して面白かった。専門的すぎるからと思って敬遠していたこのシリーズ、他も読んでみよう。2023/06/16