出版社内容情報
平安時代、東国の律令社会はどのように変化したのか。「兵(つわもの)」誕生と勢力拡大の背景を、事件・災害・土地開発・信仰・他地域との交流などから探る。〈関東〉としての自立に目覚め、古代社会の終焉に向かうさまを描く。
内容説明
平安時代、東国の律令社会はどのように変化したのか。「兵」誕生と勢力拡大の背景を、事件・災害・土地開発・信仰・他地域との交流などから探る。“関東”としての自立に目覚め、古代社会の終焉に向かうさまを描く。
目次
東国・坂東・“関東”―プロローグ
1 “関東”と東北
2 “関東”の展開
3 “関東”の動揺
4 仏と神と
5 平将門と“関東”の覚醒
6 平安文学にさぐる“関東”
7 “関東”と武士
著者等紹介
荒井秀規[アライヒデキ]
1960年東京都に生まれる。1993年明治大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程単位取得満期退学。現在藤沢市役所郷土歴史課学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りー
11
ちっとも平安ではない無茶苦茶な関東の平安時代。対東北(蝦夷)38年戦争で、兵站を負担、征服地への集団移住、俘虜の受け入れ(当然迫害された俘虜は反乱をおこす)、半島の移民集団の受け入れ、「牧」に名を借りた国司一族の荘園隠し。富士と浅間が噴火し、巨大地震が襲い来る。国衙は放火され、寺院の塔が落雷で焼け落ち、群盗が跋扈する。貴種の土着によって生まれた武士が相争い民は逃散。ひどい・・・。それでもその後、再開発の梃子入れがあったということは、関東が持つ旨味が大きかったということで。平安文化の生臭さ・・・。2020/02/24
ckagami
2
おもに9世紀以降の関東地方の歴史。強制移住させられたエミシ、計画的に移住させられた朝鮮半島からの移民が東国に住み、東北戦争の供給基地となり、牧や荘園が置かれた。中世の萌芽である私領経営や郡司による税の代納(=農民への搾取)が始まる。とくに武蔵は強盗が山に満ちると言われるほど(国家にとっては)治安が悪かったとか。その上地震・富士山噴火・干魃・飢饉が多発。祭祀の面では女性名が書かれた土器が多く出土したり、顔を描いた土器が出土したり…家は掘立柱ではなく竪穴。身近な地域の古代。2020/02/13
4610tosan
2
読み終えるまで少し時間がかかりましたが、武門の成立という概念がよくわかりました。関東に単に武力や富があっただけではなく、京都の政治権力との集合離散や権力との取引があって、次第に政治権力としての「武門」が確立して行く過程に説得力がありました。天下りの官僚を利用したりされたりしながら、合理的かつ残虐な方法で「氏」の勢力を伸ばしてきた組織=武門であって、地域の自立なんていうものとは数段違う血なまぐさい暴力に満ちた権力闘争の時代だったみたいですね。私なんか最初に他愛もなく殺されてそう。2018/04/18
ゆずこまめ
1
波瀾万丈の関東。自然災害もありながら少しずつ力を付けていく。2022/07/10
takao
1
ふむ2020/11/18