出版社内容情報
男の合戦を描く『平家物語』には、魅力的な女性も多く登場する。男勝りの武者巴、白拍子祇王、義経の愛妾静、悲劇の女房小督、平家を弔う建礼門院など、彼女らの背後にある歴史事象から、描かれたイメージを読み解く。
内容説明
男の合戦を描く『平家物語』には、魅力的な女性も多く登場する。男勝りの武者巴、白拍子祇王、義経の愛妾静、悲劇の女房小督、平家を弔う建礼門院など、彼女らの背後にある歴史事象から、描かれたイメージを読み解く。
目次
第1章 巴―大力の女性の伝説
補説1 原文と訳で味わう『平家物語』―「巴」
第2章 祇王・仏・静―白拍子の廻国
補説2 原文と訳で味わう『平家物語』―「祇王」
第3章 小督―王権と音楽
第4章 建礼門院―尼の行方
補説3 原文と訳で味わう『平家物語』―「髑髏の尼」
第5章 平経正―僧侶と児男色
補論
著者等紹介
細川涼一[ホソカワリョウイチ]
1955年東京都に生まれる。1984年中央大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。2014年大阪大学博士(文学)。京都橘大学学長・教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
20
巴、祇王と仏、建礼門院など『平家物語』で光芒を放つ女性たちに迫る。個々の人物を実証的に論じるのではなく、彼女らの「語られ方」を通じて当時の女性像をたぐり寄せるというアプローチ。例えば巴のケースだけでも、大力を持つ女性の神話的イメージ、異性装による性差の超越、巴伝説を広めた廻国巫女など複数の興味深い論点がある。巴や静、祇王など社会下層に出自を持つ女性たちがなぜ「御前」という敬称で呼ばれるのか?今まで考えたこともなかったな。2025/01/12
のれん
11
平家物語という物語から見る女性の信仰、文化を考察する本書。 平家物語は仏教による善と悪が描かれるが、女性はその枠から外れて、悪が栄えるのを嘆いて、善が戦うのを応援する添える花形みたいな役が多かったようだ。しかし、異本が細分化するとそれぞれ日本独自の信仰が入ってくる。 特に巴御前の「強い女性像」の変遷は興味深い。最初は屈強であるとだけ描かれた巴は、壮大な美女であり、偉大な武者の母でもあることになる。 小柄で色白な母性というのに神性を感じた日本独自の信仰が分かる。創作だからこそ文化は読み取れるのだ。2020/08/23
もち
2
平家物語はやはり謡曲のもとになってるんだな。読まなきゃ……。経正に妻子があったのは意外だったし、末期がつらすぎる。いろいろな発見があった。2021/02/21
めーてる
1
平家物語に出てくる彩り豊かな女性たちについて、その実像や伝説化されていくさまを記した本。ちなみに稚児についても載っています。巴好きと白拍子好きは読むべし。2024/01/01