内容説明
平安初期の諸制度を集大成した厖大なる法典で、永く貴族生活の規範となる。古代政治社会研究の基本史料、日本古代文化理解の一大宝庫。初めてその鍵を開き、興味深い条文の紹介兼ねて平易に解説した古代史研究に必読の書。
目次
1 式とは何か
2 延喜式以前の諸司式
3 延喜式の編纂と施行
4 延喜式の内容と価値
5 延喜式の利用と研究の歴史
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文庫フリーク@灯れ松明の火
90
冲方丁さん『天地明察』読み友さんレビューで気になっていた『延喜式』901年の『大宝律令』と同じく、唐の【律・令・格・式】の法制を模範に編纂された法典体系。「式」は律・令・格などの規定の細則を定める付属法令とされ、全50巻・およそ3300条から成るという。巻16の【陰陽式】陰陽尞については天文・気象・暦・時刻・卜占など特殊な学識と技術を必要とする古代的な宮司と説明されている。当時、暦は天皇から下賜される統治者の権威を表すシンボルだったという。興味深かったのは【民部式】律令国家が国民と直接関わり合う部面の→続2015/11/29
MUNEKAZ
11
平安中期に編纂された律令の細則である「延喜式」を紹介した一冊。マニアックな分野、そこそこ古い出版年と少し覚悟して読んだが、平易な文章で書かれており意外と読みやかった。条文の紹介も楽しいが、それが日本史研究においてどう役立てられているかに言及されているのが印象的。実際のところ、民生分野では空文に等しかった法だけど、朝廷儀式の規則として書き伝えられ、幾多の逸文の危機を乗り越えて、現代まで残されてきた意義を考えさせられる。あと室町時代に格式ばって堅苦しいヤツのことを「延喜式」と呼んでいたのは、ちょっとウケる。2024/03/16
Sadahiro Kitagawa
1
なんて地味な本を読む買ってしまったのかと後悔していたが読んでみると律令時代の風景が目に浮かんでくるようで楽しめた。元の『延喜式』そのものを読むのは大変だけれど、この本は日本の文化を理解するためには読んでおくべきではないか。2020/04/02
Windseeker
1
延喜式についての「正確な基礎的な専門知識を平易な形で提供しようとする」という、考えようによってはとても高いハードルを目的として掲げた本だが、その狙いはきっちりクリアしていると思う。大変読みやすかったし、得るものが多かった。著者はその道の第一人者で、「訳注日本資料 延喜式(上・中)」の編者も務めている。