内容説明
近世女性の立場の弱さを示すといわれた、三行半で書かれた離縁状三くだり半。しかし、実際は女性も対等な立場で、離縁を要求できた。女性唯一のアジールとされた縁切寺の実像と併せて、近世女性の地位を問い直す。
目次
第1章 江戸時代は女性にとって暗黒の時代か
第2章 三くだり半とはどのようなものか
第3章 三くだり半を読みなおす
第4章 縁切寺へ駆け込む女たち
第5章 縁切り駆け込みのいろいろ
第6章 したたかに生きた江戸の女たち
著者等紹介
高木侃[タカギタダシ]
1942年生まれ。1969年中央大学法学部卒業、同大学院修了。関東短期大学教授、国際日本文化研究センター客員教授、専修大学法学部教授を歴任。現在、専修大学史編集主幹、太田市立縁切寺満徳寺資料館名誉館長、博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とりもり
2
離縁状をどうして三くだり半って言うのかと思ったら、フォーマットなのね。しかも、様式集のようなものまであったとは…。夫の方から一方的に離縁できる男性優位社会のイメージがあったが、実際には貴重な労働力としての女性の地位は高く、女性の方から離縁することもできたというのは意外。女性救済の場所としての縁切寺が2ヶ所しかなく、そのうち満徳寺は幕府公認だったとは…。江戸時代が意外なほどの契約社会だったことにも驚き。女性蔑視といい、明治時代に形作られた妙な風潮が現代社会に落としている影の多いことよ。オススメ。★★★★★2023/10/22
wang
0
江戸時代女性の地位は低く夫が三下り半を叩き付ければ勝手気ままに離婚されてしまった。そういう風説に対して、三下り半の実態、女性から離縁したい場合の最後のアジール縁切寺の実態などを明らかにしている。形式上夫から妻に出される離縁状だが、実際には熟談離婚として仲人双方親など関係者一同協議の上で書かれ、返り一札の妻からの受取状がないと夫方が独身である証明ができなかったこと。離縁には嫁入り道具一式と持参金の返却が必須など、女性の地位が一方的に低かった訳でないことを知った。武家屋敷などその他の駆け込みも興味深い。2020/07/24