内容説明
五代綱吉から八代吉宗までの養子将軍の時代。老中を信用できなかった将軍たちは、地方大名時代の家臣を登用しどんな政治を行ったのか。生類憐みの令、正徳の治、享保期の改革、殿中儀礼などに触れつつ、時代の流れを描く。
目次
養子将軍の時代―プロローグ
1 経済の発展と綱吉の将軍就任
2 元禄期の政治と社会
3 正徳の治
4 享保期の政治と社会
5 江戸城御殿の構造と殿中儀礼
田沼時代への序曲―エピローグ
著者等紹介
深井雅海[フカイマサウミ]
1948年広島県に生まれる。1971年国学院大学文学部卒業。1992年国学院大学博士(歴史学)。現在、聖心女子大学文学部教授、徳川林政史研究所副所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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k5
58
江戸力強化月間③。うっすら教科書と『まんが日本の歴史』で記憶がある二人の将軍がテーマですが、主なフォーカスは行政史ですね。それぞれ養子として将軍になった二人が、どのようにして官僚機構、というか家臣団を形成していったのかがよく分かります。大岡忠相の日記から、それぞれ上司(将軍、老中、若年寄)に何回接見したかのリストがあったりして、解像度が高く面白いです。2022/05/07
アメヲトコ
7
近世政治史シリーズ第3巻で、綱吉から吉宗までの時代が対象。とくに行政機構の解説が主体ですが、なかでも後半部は中公新書『江戸城』の著者らしく、江戸城の空間構造と幕府機構との関係が分析されていて面白いです。図版はもうちょっと分かりやすくできたかなとも。2018/09/04
MUNEKAZ
6
綱吉から吉宗まで養子相続の将軍が続いた時代を、行政面からまとめた一冊。どの将軍も代替わりのたびに自らの出身藩の藩士を幕臣として多数登用し、老中たちの力を抑えて将軍専制体制を作り上げていく姿が印象的。またその手法も側用人を使って老中政治をコントロールしようとした綱吉・家宣に対し、位の低い者を御用取次にすることで、老中を素通りして実務者へ直接アプローチできるようにした吉宗とそれぞれ違いが見られるのも面白い。2017/08/11
奇天
3
江戸幕府の行政システムを中心に描かれている。冒頭、「養子将軍の時代」と題されているが、側用人などを利用した将軍親政の時代だったというのが本書のテーマと言えるだろう。大岡忠相の日記など具体例から描いている点は興味深かった。2013/03/08
てり
2
江戸幕府綱吉~吉宗の時代の解説。行政機構の解説、家格による儀礼の違いなど。武家政権の”武”の部分はどんどん薄まり、財政再建に四苦八苦するさまは現代の政権運営とかわらない。施政者の苦労がしのばれる。2021/12/31