内容説明
応仁の乱を契機に幕府の支配は崩壊する。一方、地域では独自の秩序がつくられ“一揆”は戦国大名へと結実していく。中央の政治動向から地方大名の興亡まで、列島全体を巻き込んだ戦国争乱の意味を、幅広い視点で問う。
目次
序章 戦国とは何か
1 応仁の乱の衝撃
2 自立する地域社会
3 畿内の政争
4 新秩序への模索
5 広がる地域社会
6 大名領国の成り立ち
7 国郡境目相論―大名間の領土紛争
終章 天下統一に向けて
著者等紹介
池享[イケススム]
1950年新潟県に生まれる。1980年一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了。現在、一橋大学経済学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
11
応仁の乱から織豊政権誕生前までを描く通史。決して多くないページ数だが、政治史と同じくらいの比率で、戦国という特異な時代を生きた民衆や社会の様子を扱っているのがポイント。列島全体で見ると中央の権力が弱まり、地方の自立性が強まるという遠心力が働いているが、地域ごとに見れば、国衆を従えて一円支配を成し遂げた戦国大名の求心力の高まりが見られる。この矛盾する「放」と「収」の中で、近世社会を形作る要素が生まれていく。また生まれや正統性以外に「器量」というものが重視されるのが、この時代らしいと思った。2015/11/23
四谷/まい
2
応仁の乱から秀吉の天下統一前までを各地域ごとにフォーカスしている。子供の頃に読んだ『八犬伝』の漫画に関東管領扇谷上杉家や安房の里見家が出てきたが応仁の乱頃の話だとわかり興味深かった。授業では詳しく掘り下げられない複雑な社会制度や百姓たちの立場もわかりとても面白かった。元号がころころ変わるのでそこは分かりづらかったが室町幕府が力を失い各地の領主が領国の安堵と拡大に争乱を起こしつつも細やかな政策を発令して治国に努めていたことを知り、戦国時代の印象は少し変わった。2017/04/23
陽香
0
200908012012/09/13
wang
0
大名対大名の戦争よりも、それを可能にした地方民衆や土豪の成長など経済基盤、さらに中央政府の弱体状況などがよく描かれている。しかし登場人物が多くしかも複雑で錯綜しているのでわかりにくい。2010/09/18
吃逆堂
0
政治史好きには消化不良かもしれないが、戦国社会をしっかり理解できる良書。2010/02/01