出版社内容情報
家宣・家継2代の将軍に仕えた新井白石は、儒学者として政治改革を進めつつ、武士としての誇りを持ち続けた。武家独自の「礼楽」を興し、官位制度に代わる勲階制度を提案、将軍の対外的呼称の変更に関わる。さらに家宣の能楽愛好を諫め、貨幣復古政策を推進するなど、神君家康の徳を継ぎ、江戸幕府と徳川氏の永続実現に奮闘した生涯に迫る。
内容説明
家宣・家継二代の将軍に仕えた新井白石。礼楽や勲階制度、将軍の対外的呼称の変更、貨幣復古政策など、儒学者として政治改革を進めつつ武士としての誇りを持ち続けた。江戸幕府と徳川氏の永続実現に奮闘した生涯に迫る。
目次
肖像画の白石―プロローグ
武人(武士)白石(武人の心性;武士の誇り;赤穗事件と白石;軍事の重視)
武家の旧儀による「礼楽」(「礼楽」を興す時;武家官位に代わる勲階制度―公武各別のための制度(一)
武家装束の整備―公武各別のための制度(二)
武家国家の外交―日本国王)
「楽」を興す(家宣の能楽愛好に諌言;家宣と能楽;家宣と雅楽)
天皇(公)と将軍(武)の関係(武家政権の優越性;公と武の関係)
「天命維新」の試み「天命」再降下(幕府危機への提案―家康の徳を継ぐ(一)
皇女八十宮の降嫁
貨幣復古の政策―家康の徳を継ぐ(二))
その後の白石―エピローグ
著者等紹介
藤田覚[フジタサトル]
1946年、長野県に生まれる。現在、東京大学名誉教授、文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
11
新井白石の思想について、「武人」という側面に焦点を当てて読み解く。武家の優越を説く公武関係の捉え方や家康を理想化する復古思想など、白石のモノの見方の要諦がまとめられている。その献策の裏にあるのは、泰平の怠惰に溺れて天命に見放され、2代続けての養子将軍という現状への危機感であり、家康の聖代に還ることで政治を正そうとした。名分論などは切れ味抜群で唸らせられるが、経済政策など実学の分野は、やはり空理空論としか思えない。また吉宗期の零落ぶりは、まさに寵臣の末路といった感じで寂しいものを感じる。2024/12/13
アメヲトコ
6
2024年7月刊。德川家宣・家継政権のブレーンとして正徳の治を推進した新井白石の評伝。一般には儒学者としてのイメージが強いですが、本書では彼の自意識が学者よりも武人にあったことに着目します。とりわけ公武関係の解釈のありようは近世後期以降の理解とはまた異なっていて興味深いところ。2024/10/08
wuhujiang
1
白石の「こだわり」にフォーカスした本。武士であることにこだわり、"このままでは天命が改まり徳川家の世ではなくなる"という危機感から家康の徳を継承する政治を目指したことがわかる。本書は1人の人物を生まれから死去まで追う形式を取っていない。白石がこだわったことの解説がメイン。そのためかやや読みにくさを感じた。白石のこだわりを記載するうえで周囲の儒学者や経緯の説明も加わって来るので脱線気味なのか原因か。読み物としておもしろいとは確かに感じるのだが、肝心の白石の生涯がきっちりわかった気にはならなかった。2024/11/16
Go Extreme
1
肖像画の白石 武人白石: 武人の心性 武士の誇り 赤穂事件と白石 軍事の重視 武家の旧儀による礼楽: 礼楽を興す時 武家官位に代わる勲階制度・武家装束の整備―公武各別のための制度 武家国家の外交―日本国王 楽を興す: 家宣の能楽愛好に諫言 家宣と能楽・雅楽 天皇・公と将軍・武の関係: 武家政権の優越性 公と武の関係 天命維新の試み: 幕府危機への提案 皇女八十宮の降嫁 貨幣復古の政策 その後の白石2024/07/22