出版社内容情報
近世最大の城郭江戸城。家康から家光の30年にわたる築城の歴史に、土地の造成、石垣、土塁、水堀といった構造など、土木工事の側面から迫る。天下普請による城下町整備の様子を、中世からの技術的推移や工事体制の変化、交通網や屋敷地の発展とともに描く。大火や地震など災害を通して再建されていく姿、多様化していく築造技術にも説き及ぶ。
内容説明
近世最大の城郭江戸城。家康から家光までの築城に、土地造成、石垣、土塁、水堀や惣構など、土木工事(天下普請)の側面から迫る。技術的推移や工事体制の変化、城下町の整備、災害を通して再建される姿も描き出す。
目次
近世城郭の基礎知識―プロローグ
江戸城築城前史(江戸の地理的環境;古代・中世の江戸城)
徳川家康の城づくり(徳川家康関東移封への過程;徳川家康入部当時の江戸城下)
天下普請による江戸城築城(江戸城の地形と天下普請;家康による慶長期の普請;秀忠による元和期の普請;家光による寛永期の江戸城普請;江戸城惣構の完成)
江戸城築城による城下町整備(外堀建設と城下町整備;江戸城外堀普請以後の水辺環境と維持管理)
築城後の江戸城の改変(明暦三年の大火と江戸城修築;元禄十六年大地震後の江戸城修築;幕末期の災害と江戸城修築)
江戸城廃城から皇居へ―エピローグ
著者等紹介
後藤宏樹[ゴトウヒロキ]
1961年、熊本県に生まれる。現在、東京都立大学プレミアムカレッジ非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
124
よく「誰それが築いた城」と言われるが江戸城は違う。家康から秀忠、家光まで三代30年をかけて、徳川氏単独でなく天下普請により日本最大の城が建設されたのだ。そんな江戸築城の歴史を地形から土地の造成、石垣造りや惣構まで土木技術の側面から跡付けていく。城の縄張から周囲の大名屋敷配置まで、徳川の権威を目に見える姿とする新首都建設の全貌を明らかにする。のみならず堀や上水道整備、度重なる地震や火事からの復興、施設の維持管理まで城下町の都市計画が見えてくる。江戸は城郭を中心に構築された計画首都であったと再認識させられる。2024/06/18
アメヲトコ
10
2024年5月刊。著者は考古学が専門で、外堀までを含めた広義の江戸城の建設過程とその後の変化についてまとめた一冊です。お役所勤めらしい生真面目な文体ですが、江戸遺跡研究会をはじめとする考古学の近年の知見がまとめられていてありがたい成果です。断面図などを見ると本丸や外堀の地形改造の大規模さには驚かされるものがあり、幕府の権力の大きさを感じます。2024/06/16
Go Extreme
1
江戸時代の城普請:中世→近世の技術的推移・工事体制変化 織田信長:城と市場・二元的構造→領主居館・一元的構造 豊臣秀吉:城と城下町を一体化→総構 1635年家光・参勤交代制度化 大名の天封と一国一城令→大都市の基盤 1457年太田道灌・品川御殿山→江戸城 小田原北条市の江戸城 徳川将軍家の城建設・天下普請 築城跡・伊豆石丁場 秀忠:元和期の普請 家光:寛永期の江戸城普請 江戸城総構完成→家光・幕藩体制の基盤実現 明暦3年大火・元禄16年大地震と江戸城修築 江戸城廃城→皇居:東京都市改造 皇居の文化財指定2024/05/23