出版社内容情報
明治時代、裕福な男性や花柳界の女性の着物に〈面白柄〉が流行する。その後、日清戦争を経て戦場風景などが描かれるようになり、大正以降は幼子の立身出世を言祝ぐ吉祥としての戦争柄が主流となる。意匠としての〈戦争〉から、当時の社会的背景や時代性を読み解き、戦争の断片を伝えることで真実を覆い隠した姿を解明。近代史・美術史の中に位置付ける。
内容説明
日清戦争から太平洋戦争開戦まで盛んに作られた戦争柄着物。吉祥とされた意匠から当時の社会的背景や時代性を読み解く。戦争の断片を伝えることで真実を覆い隠した姿を解明し、近代史・美術史の中に位置付ける。
目次
戦争柄着物を着た時代―プロローグ(小説に描かれた戦争柄着物;花柳界の女性と着物 ほか)
面白柄着物の誕生と隆盛(面白柄着物の誕生;男性向け面白柄着物;女性向け面白柄着物)
戦争柄着物の登場とメディア―日清・日露戦争期(戦争柄着物の登場;日清戦争・北清事変期の戦争柄着物―錦絵との関係;日露戦争期の戦争柄着物―報道と絵葉書との関係)
多様化する戦争柄着物―大正・昭和期(大正期の戦争柄着物―ボンチと新聞との関係;昭和期の戦争柄着物(一)―テーマの多様化と流行
昭和期の戦争柄着物(二)―満州国柄とプロパガンダ
昭和期の戦争柄着物(三)―天皇と将軍
昭和期の戦争柄着物(四)―事件と報道
女性向け戦争柄着物)
戦争柄着物からの問いかけ―エピローグ(美術に対する締め付け;着物による戦争イメージの改革;プロパガンダではない戦争柄着物;戦争柄着物の影響力)
著者等紹介
乾淑子[イヌイヨシコ]
山梨県に生まれる。1975年、お茶の水女子大学文教育学部卒業。1987年、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程修了。元東海大学国際文化学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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