出版社内容情報
武士の台頭した時代、中世。その力が確立するなか、幾度も政変や合戦が起きた。多くは、当時の年号を冠した争乱の名前でいまに伝えられている。鎌倉幕府成立時の「治承・寿永の内乱」から戦国時代の幕開けを告げる「享徳の乱」まで、十五の闘諍を年代記風に辿り、そこにまつわる記憶とともに、野史や外伝もふまえつつ敗れた者への視点から描き出す。
内容説明
武士が台頭しその力が確立するなか、多くの政変や合戦が起きた。鎌倉幕府成立時の「治承・寿永の内乱」から戦国時代の幕開け「享徳の乱」まで、年号を介した十五の事件を年代記風に辿り、敗れた者への視点から描く。
目次
鎌倉―「関東」と敗者たち(治承・源頼政の存念―交差する記憶と記録;文治・反骨の証明か、大河兼任の乱―奥州藤原氏の意地;建保・和田合戦―和田義盛の執心、朝比奈三郎の抗心;承久・後鳥羽上皇の残念―「武家、天気ニ背ク」の深層 ほか)
室町―両府相剋と敗者たち(応永・応永の乱から禅秀の乱へ―大内義隆そして上杉氏憲を考える;永享・永享の乱と公方持氏の抗心―両府激突;嘉吉・嘉吉の乱の奥行き―将軍横死の顛末;享徳・享徳の乱と古河公方成氏の矜持―都鄙争乱と戦国への助走)
著者等紹介
関幸彦[セキユキヒコ]
1952年生まれ。1985年、学習院大学大学院人文科学研究科史学専攻博士後期課程満期退学。現在、日本大学文理学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
7
「寿永・治承の内乱」から「享徳の乱」に至るまで、中世には年号のついた内乱がいっぱいあるわけである。それら一つ一つを「敗者が敗北に至るまで」そして「敗者が敗北した後の運命」について短く簡潔に、そして、史料に則り語った小論集である。ぬこ田が嘗て住んでいたところのほど近い所に、この本で取り上げられた争乱のきっかけになった地であることから、妙に生々しさを感じてしまった。現在のぬこ田は幾らでも「月曜朝のQB」ぶれる訳だが、当事者たちは「勝ちに不思議の勝ちあり」としか思わなかったりしたのであろうな、と思った。2020/03/06
庄屋之者
4
鎌倉時代に北条氏vsその他の御家人という構造があったことはよく知られているが、室町時代初期(南北朝合一後も含む)の反体制=親南朝志向や、その後の幕府vs鎌倉府という構造は中世争乱を見る上で非常に重要な視点である。幕府が京都へ移っても鎌倉の基盤は維持されていたことから、享徳の乱による鎌倉体制の崩壊が東国史にとってどれほどの重要性を孕んでいるかは計り知れない。2020/10/29
onepei
3
敗者はどうしても魅力的2020/04/26